モノクロ写真に必要な薬品
買い忘れのないように、なおかつ余計なものを買わないようにしましょう。 とにもかくにも、初心者の方には、「無難な製品」を選ぶことをお勧めします。
このページでボクがお勧めとしている「無難な製品」は、なにも初心者向けに使い方が簡単だけれど性能が劣る、という事はありません。

フィルム現像液
おおきく分けると、用途に応じて「標準現像液」「微粒子現像液」「増感現像液」という風にありますが、実際のところ「標準現像液」でも十分に微粒子現像できると言っていいので、最初はそれほど意識する必要はなく、いわゆる「標準現像液」を買い求めればよいと思います。
剤型で、粉末になっているもの、濃縮液になって売られている物があります。
現像液には従来、経皮毒性があるとされるメトールや環境に影響があると言われるハイドロキノンが主に使われているのですが、コダック「Xtol」は、人体への影響が少なく環境に優しい原料を使っている新しい世代の現像液で、微粒子の低感度フィルムから超高感度フィルムまで幅広く使用出来ます。

印画紙現像液
フィルム現像液にも増して種類があれこれあって迷うのが印画紙用です。 実際、フィルムよりも印画紙の方が現像液によってあれこれ違いを楽しめるのも確かなのですが、市販のものではそれほど変わった物はなく、またレジンコート紙(RC紙)ではバライタ紙(FB紙)に比べてその違いも出にくく、やはり最初の頃はひとつの種類を使っていれば十分だと思います。
いっぽう、フィルム現像と違って印画紙の現像(プリント)は失敗してもやり直しが効きますので、フィルムよりも冒険しやすく遊べる、とも言えます。
そこで、入門用にボクのお勧めはイルフォード「マルチグレード」です。 これは濃縮液体タイプで、使用直前に薄めて使う手軽さも魅力です。 オリエンタルからは純黒調の「オリトーンPB」、冷黒調の「オリトーンCB」が共に濃縮液体タイプで販売されています。
ある程度プリント作業になれてきたら、違う表現を求めて現像液を変えるのも面白いと思います。

停止液
現像の進行を止めるもの、と考えて結構です。 現像液はアルカリ性で、またアルカリ性でないと現像が出来ません。 そこで、酸性の停止液を使い、現像時間が過ぎたら現像を止めるわけです。 また、続く定着液は酸性のものがほとんどですので、定着液の疲労を少なく押さえる、現像液を定着液に出来るだけ持ち込まないという意味もあります。
いずれにしても、ボトル入りの液体を薄めて使い、処理量が少なければ再使用も可能です。インジケーター付きならなお安心です。 しかし、原液の使用量が少なく価格も安いため、実際には1回使い捨てというパターンが多いのではないかと思います。
フィルム現像では酸性の停止液ではなく短時間の水洗でもそれほど困りませんが、印画紙では定着液を長持ちさせるためにも使った方がよいかと思います。

定着液
フィルム用、印画紙用という区別はありません。 いずれの場合も、現像した画像を固定する薬品だと考えてください。 現像というのは光の当たったハロゲン化銀を銀に変換する工程なのですが、定着処理では銀にならなかったハロゲン化銀だけを除去し、画像を作っている銀だけが残ります。
個人的には、イルフォードの「ハイパムフィクサー」がおすすめです。 非硬膜化タイプですが、硬膜化が必要な場合には別途硬膜剤を追加する事が出来ます。
「ハイパムフィクサー」は濃縮液体タイプなので水で薄めて使いますが、定着液は現像液などに比べると空気による劣化が比較的少なく、ほとんどの場合は処理量によって寿命をむかえるので、使った後は容器にもどして保存、次回のセッションで再使用します。
しかし、現像と違って定着は処理の結果が見た目では分からないので、疲労具合(処理した量)はしっかりチェックしておく必要があります。

水洗促進剤
フィルムにしろ印画紙にしろ、定着処理が終わったら水で薬品を洗い流さないとなりませんが、水洗促進剤はその際に水洗の効率を高め、保存性に悪影響のある成分や薬品の残留を防ぐために使われます。 分かりやすく言えば、水洗の時間を短くするためのもの、です。
非硬膜化タイプの定着液を使っているという前提にはなりますが、フィルム、レジンコート紙(RC紙)ではほとんど使わなくても大丈夫です。硬膜化タイプの定着液では必須です。 印画紙の場合、バライタ紙(FB紙)では使った方が確実ですし、処理時間を短く出来ます。印画紙は水に浸かっている時間が長くなるとそれだけ傷む(RC、FB共に)ので、出来るだけ短時間で水洗が完了する方法が望ましいです。
非常に安価なものですが、なかなかに使いでがあります。
富士写真フィルムの「QW」、イルフォード「ウォッシュエイド」、コダック「HCA」などの製品が挙げられます。

水滴防止剤
フィルムや印画紙を水洗し終わったら、最後に乾燥という作業が待っています。 この時に、表面に水滴が残っているとそこにムラが出来、台無しになってしまいます。
水滴防止剤はいわゆる界面活性剤で、水の表面の張力を失わせて水滴が出来るのを防ぎます。
富士写真フィルムの「ドライウェル」という製品が一般的です。 非常に安価なもので、かなり使いでがあります。 薄めて使いますが、この時の溶液はフィルムなり印画紙に染み込んで残るものですから、可能なら精製水、最低でもフィルターを通した水を使いたいところです。
液体を水に薄めるので簡単にすぐ使用液を作れそうな気がしますが、混ぜてすぐの使用液だと滑らかさが無く逆効果という事もあるようです。使用直前に薄めて使用液を作る場合、混ぜた時に出来る細かい泡が自然に消えるくらいは待った方がよいので、作業の流れの中では早い段階で作っておきましょう。

画像保護剤
画像保護剤として、富士写真フイルムの「Agガード」という製品があります。 これは銀画像の保護を目的としたもので、プリントの長期保存を必要とする場合によく使われますが、フィルムにも使えます。
フィルムにAgガードを使う場合は、浸した後にスポンジで表面を拭き取るか、フィルムの乳剤層に塗るような感じで処理します。反対側のベース面に多く付着していると白っぽく曇ることがあるようです。

調色剤
セピア調やブルー調など、印画紙の色調を変えた表現に使います。 また、セレニウム調色や硫化調色、金調色は銀画像の保存性を高める事が出来るので、その目的でも行われます。 ただ、健康や環境への影響が大きい薬品が使われることもありますし、入手が困難だったりするので、ここでは特にお勧めということはしません。 調色せずに保存性だけ高めるのには富士のAgガードが良いでしょう。
「セピア調色」「ブルー調色」は大型写真用品店でごく普通に販売されています。 日本で売られている「セレニウム調色」にはコダックの製品「ラピッドセレニウムトナー」があり、高価なものではありませんが、入手先はプロ向けの販売店に概ね限られてしまうようです。

一般的に使われる薬品は以上です。


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