モノクロネガフィルムの現像
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水洗は流水で何分、というのが良く知られた方法ですが、ここではイルフォードの「ハイパムフィクサー」など、
非硬膜タイプの定着液を使っているという前提で、より確実で水の使用量も少ない方法で行っていきます。
水洗
あらかじめ、大きめのメスカップに水を用意しておきます。
水の温度は、現像や定着ほど厳密でなくても構いませんが、処理温度に対してプラスマイナ
ス2℃くらいの範囲で温度調整しておきます。
現像タンクに水洗用の水を注ぎ、キャップをして5回の倒立攪拌を行います。
水を排出し、再び新鮮な水を注いで今度は10回の倒立攪拌。
再び水を排出、新たな水を注いで、今度は20回の倒立攪拌。
再度同じ要領で、20回の倒立攪拌を行い、水を排出して水洗処理は完了です。
この方法では、タンクの必要液量の4倍ほどの水を用意しておく必要があります。
2本用タンクでは2リットルほど、4本用では4リットルにもなりますが、なにも慌てて行わなくてはいけない処理ではありませんので、途中で水の温度調整をして追加しながらでも大丈夫ですし、薬品を入れるわけではないのでメスカップではなくヤカンか何かを使ってもいいでしょう。
ボクの場合、台所の流しには給湯器があって温度調整が出来るため、非常に簡単で助かっています。
流水で水洗する場合は、水のまわりが良いようにリールをタンクから出してメスカップ等に移します。
メスカップ一杯に水を入れ、排出。また入れて排出。
これを数回繰り返した後、非硬膜化タイプの定着液を使っている場合、流水で約5分間水洗します。
メスカップに注ぎ込まれた水がちょろちょろこぼれ出るくらいの水量で充分です。
硬膜化タイプの定着液を使っている場合には、定着液の使用説明書に記載された推奨時間に従い、指定されているなら水洗促進剤等を使ってください。
水洗時の水温は現像〜定着時の処理温度プラスマイナス2℃程度までが望ましいです。
水の温度が極端に低い場合、水洗の効率が悪く思いがけないトラブルの元になりかねませんし、逆に温度が高い場合、フィルムの乳剤層が痛んでしまうこともあり得ます。
夏場や冬場など、水道水の温度が処理温度と大きく離れてしまう場合は、前出のように温度調整した水を使った水洗方法をとった方がよいと思います。
流水の場合、ちょろちょろとした量では容器の水を入れ替えるのに意外と時間がかかります。
なにか色の付いた液体で試すとよく分かりますが、ビックリするくらい効率が悪く、無駄に水も使ってしまいます。
また、リールに巻かれたフィルムの隅々まで均等に水が出入りするかどうかも怪しいものです。
タンクに水を入れて攪拌して排出を繰り返す方法は、頼りなく思えて実はとても効率が良く、確実な方法なのです。
リールの取りだし
タンクの蓋を開け、リールを取り出します。
いよいよ現像後のフィルムとご対面です。
巻いてあるフィルムを少しだけ引き出して、フィルムベースが定着処理でちゃんと抜けている(曇り無くグレーの半透明になっている)か、念のため確認します。
ついつい画像の出来を見たくてどんどん引き出しちゃうものですが、もうちょっとガマンしましょうね。
定着液が疲労していてダメダメだと、フィルムベースが綺麗に半透明になりません。
万が一そんな事があっても、慌てる事はありません。
リールをタンクに戻してフタをし、新鮮な定着液を用意して再度定着処理すれば大丈夫です。
もっとも、そもそもそんなことがあるようでは困りますけどね。
フィルムベースが綺麗に半透明と言っても、実際にはフィルムの銘柄によってその色や透明具合はさまざまです。
何度かご紹介している定着液のテストでは綺麗に抜けたフィルムベースを見ることが出来ますので、それを参考にしても良いでしょう。
実際には、未現像のフィルムを定着したより、現像したフィルムの方が定着後のベースは現像カブリによって若干濃くなっていますので、全く同じようにはなりません。あくまでも参考程度としてです。
また、フィルムによってはベースがややピンクがかって見えることがあります。
これも定着不足の事もありますが、多くの場合は水洗の不足です。
水洗促進剤を使って再度水洗するなどすると、ピンク色が薄くなったり取り除いたり出来ます。
完全には取れない場合もありますが、ほとんどの場合、問題にはならないようです。
乾燥
水洗処理が終了したらフィルムを乾燥させます。
乾燥させる場所は、言うまでもなくホコリがたちにくい場所。
なおかつあまり乾燥しておらず、強い日射しなども当たらないところが良いです。
一般的には、お風呂場がベスト、という事が多いようですね。
特に、あらかじめ熱いシャワーをしばらく出して湯気を立てておくと、お風呂場内のホコリが蒸気と一緒に下に落ちてしまいますから、かなり理想的な空間を作ることが出来ます。
もちろん、お風呂場の使用にはご家族の了解を得ないとマズイですけどね。
乾燥では水滴によるムラを防ぐために、おおきく分けて2通りの方法があります。
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水洗の終わったフィルムのリールを、ピッピッと振って余分な水滴を出来るだけ落とし、リールからフィルムを少し引き出して、フィルムクリップを取り付けて先端のフックを高い位置に引っかけます。
ゆっくり自重で降ろしながらリールを回転させてフィルムを徐々に引き出し、全部を引き出したらリールから外し、端にオモリ付きのクリップを取り付けます。
軽く濡らした後で良く絞った、写真用スポンジ2つでフィルムを挟むようにし、上から下へと優しくなぞって水分をスポンジで吸収します。
一度で出来なかったらスポンジを軽く絞って再び上から下へ。
乱暴にやるとフィルムに傷を付けやすく、またスポンジが痛んでカスが出てしまいますので優しく、ね。
水滴が残っていると乾燥後にそこがムラになってしまいますのでご注意を。
あとは乾くまで放っておきます。
水滴防止剤
界面活性剤のようなもので、水の表面張力を失わせて水滴が出来ないようにするものです。
富士写真フィルムの「ドライウェル」という商品が一般的です。
「ドライウェル」は水でかなり薄めて使いますので、1回使い捨て、という考え方も出来ますが、最後にフィルムを浸ける水は出来れば不純物のない綺麗なものの方が望ましいです。
そこで、可能なら精製水、少なくともフィルターを通した水で使用液を作るのが良いでしょう。
水道水の水質によっては、乾燥後に白っぽいムラが出来てしまうこともありますから。
水洗の終わったフィルムのリールを、ピッピッと振って余分な水滴を出来るだけ落とし、リールごと薄めたドライウェルの溶液に浸し、30秒ほど放置します。
その後、リールを取りだしてフィルムの先端にフィルムクリップを取り付け、高い位置から吊します。
ゆっくり自重で降ろしながらリールを回転させてフィルムを徐々に引き出し、全部を引き出したらリールから外し、端にオモリ付きのクリップを取り付けます。
後は自然乾燥です。
表面張力を失った水は静かに下に落ちていきますから、水滴は出来ません。
水滴防止剤の場合はスポンジでぬぐう必要が無いので、その事による拭き傷の危険や、スポンジカスの心配をする事もないですが、一方で、びちゃびちゃに濡れた状態から乾燥を始めるので普通のホコリが付きやすいというデメリットもあります。
どちらが良いかは好みの問題かも知れません。
いずれにしても、急速に乾燥するとフィルムは乳剤面を内側にして強くカールしてしまいます。乳剤層は水を含むと膨らみ、乾くと縮むからですね。
それを防ぐため、下にオモリを付け、ある程度の湿度がある場所で時間を掛けて乾燥させた方がよいわけです。
それでもカールしてしまったら、ネガシートに入れた後で本などで挟み、重しをかけて一晩おけばかなり落ち着きます。
乾燥途中にホコリが付着してしまって、軽く拭いても取れないという様な場合、リールに巻いて水洗をし直した方が良いです。乾いた状態ではどうにもならない事が多いです。
以上で一通りの処理は終わりです。
乾燥させたネガフィルムは35ミリフィルムなら6コマずつに切り、ネガシートに入れて保管します。
定着液・停止液は繰り返し使用できるので容器に入れて冷暗所に保存します。
停止液は安価なので使い捨てでもいいですが、定着液は勿体ないのでテストをしながら疲労度を確認し、ある程度のところで新鮮な液に交換です。
現像液は現像時間を延長することで繰り返し使用する場合もあるでしょうが、保存液を希釈して使うタイプでは1回使い捨てです。ボクは原液使用・希釈使用にかかわらず繰り返し精度を重視して1回使い捨てにしています。
諸説あるようですが、現像液や停止液を廃棄するときは大量の水と一緒に排水口に流しても構いません。食べ残しの醤油やソースを台所の流しから捨てるより環境への影響は少ないという意見もあるようです。
廃棄業者に出す場合、廃酸・廃アルカリ処理業者というのがありますので探してみましょう。役場に聞けば分かるはずです。
あるいは、非常に仲良くしている写真屋さんがあるなら、相談しても良いかも知れません。
使用済みの定着液は、フィルムから除去した銀が含まれているので、そのまま破棄するのはやめましょう。
バケツに使用済みの定着液を入れ、中にスチールウールを沈めておきます。
数日すると液中の銀が分離して沈殿しますので、上澄みを捨て、沈殿物を廃棄業者に出すか、あるいは燃えないゴミですね。
いちおう銀なので、メチャメチャいっぱい溜めておくといつか指輪くらいは作れるかも知れませんけど(?)。
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