フィルム
だんだんと種類も減ってきてしまいましたが、まだまだ選択の余地はあれこれあります。 とはいえ、物珍しさであれこれ手を出していてはいつまでたっても基本的な技術や知識が身に付きません。 標準的な感剤と薬品とを、さまざまな事を理解できるまで使い倒してみましょう。

モノクロネガフィルム
黒白写真フィルムと箱に書いてあるヤツです。 富士でもコダックでもイルフォードでも結構ですが、最初はなるべくメジャーで簡単に手に入るものがいいです。 メジャーな物にはそれだけの理由がありますし、さまざまな現像液での標準現像はもとより、増感現像や減感現像などのデータも豊富に存在します。
モノクロフィルムには、思わず「シブイ!」と思っちゃうような東欧の銘柄などもありますが、トップメーカーとの技術差にはかなり大きな物がありますよ。
個人的には、性能と価格、そして日本国内での入手のしやすさから、富士写真フィルムのネオパンシリーズをオススメします。
フィルムは感度ごとで俗に、ISO100クラスを「中庸感度フィルム」、ISO400クラスを「高感度フィルム」、それ以上を「超高感度フィルム」と呼んでいます。 今ほどフィルムの微粒子化が進んでいなかった昔にはISO25やISO50という低感度の物が微粒子フィルムで、それゆえISO100が中庸と呼ばれるのですが、今ではISO100で十分。 ISO25の極超微粒子のものも少数存在しますが、残念ながら日本では売られていないようです。
ここはちょっと強調しておきますが、「ISO400だから感度は400」というのはカラーでは当たり前ですが、モノクロでは通用しません。 詳しいことは別のコーナーに譲りますが、メーカーが公表しているISO感度は高く見積もりすぎで、階調再現を優先するならば、それより低いと思って使うのが当たり前だと考えてください。 たとえばネオパン400プレストであれば感度は200から250くらいだと思っていただいて結構です。
そのうえ、モノクロでの撮影時にはフィルターを使用することも多いので、その分の光量も不足します。 ISO400のネオパン400プレストで、はじめてカラーネガフィルムのISO100程度のシャッター速度と絞り値を得られると考えてもいいくらいです。
逆に、ISO400だからそれ未満の撮影感度でしか使わないかというと、そうではなく、ISO400のフィルムを640なり800なり、場合によっては1600やそれ以上として使うこともあるのです。
いずれにしても、それぞれに応じたフィルム現像とのセットになるわけですが、ISO感度、あるいは箱に書かれている感度というのは絶対的な物ではなく、そのフィルムの実際の感度、撮影に使う感度というものが、定義の仕方や使用目的によって変わってくるのがモノクロの面白いところです。
当たり前の事ですが、フィルムは、目的に応じて、まずなにより撮影時に必要な感度、つまり必要な絞りとシャッター速度を満たす感度を基準にして選びます。
大雑把にですが、ISO100クラスは風景や静物に使いますから、撮影感度50から100の間で階調再現を最優先。 ISO100クラスを増感してもいい事はひとつもありませんので、撮影感度200から400でしたらばISO400クラス。800では、ISO400クラスを増感現像するか、ネオパン1600スーパープレストを使うか微妙な判断という感じです(ボク個人的には400を増感した方がいいと思ってますが、増感現像のテクニック次第かな)。
それ以上はどうあがいても超高感度フィルムという事になり、撮影感度1600まではネオパン1600スーパープレストの右に出るフィルムはなかなか無いです。 ただし、それ以上、特に3200以上となると、イルフォードの「デルタ3200」の独壇場。ここでもコダック「T-MAX3200」はあまり人気が無いようですね。

余談ですが、もともと、写真感剤は青い光にしか感光しませんでした。 なので、大昔の写真を見ると一様に空が真っ白だったりします。
光は波長の短い方が紫外線で、長い方が赤外線。その間に人間の目に見える「可視光」という範囲がありますが、波長の短い光にしか反応しなかったのですね。
それを加工して、緑を含む長い波長の光を撮影できるようにしたのが「オルソクロマチックフィルム」です。 しかしこの段階ではまだ感光域が赤までは達しておらず、赤い光には反応しません。 モノクロ印画紙がそうですね、だから赤い光は安全光(セーフライト)として暗室内で使えるのです。 いまでも、複写などの用途向きにオルソクロマチックのフィルムは少数存在します。
オルソをさらに改良して、赤まで撮影できるようにしたのが「パンクロマチックフィルム」です。 現在ではほとんどの写真用フィルムがパンクロマチックなので、とりわけ意識する必要はありませんが、モノクロフィルムの名前に「○○パン」というのが多いのは、パンクロマチックである事を強調するためだったのでしょうね。
なお、赤外線フィルムというのは、感光域をさらに長い波長の光まで伸ばし、赤外線域でも感光するようにしたものです。


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