モノクロ写真の引き伸ばしプリント
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印画紙の現像
作業の順番が前後しますが、印画紙の現像はテストプリント、本番プリントそれぞれに共通の工程なので、先にご説明しておきます。
印画紙の現像は、フィルムの現像と違って基本的には目一杯現像する事になります。
そのため、現像しすぎというのは生半可な事では起こりません。
フィルム現像よりもはるかに簡単で、少々大雑把なものです。気楽にやりましょう。
そもそも、暗室内と言ってもセーフライトが使えますから、フィルム現像と違って真っ暗とか手探りというわけではありません。
それに、ネガさえあればプリントは何度でもやり直せるのです。
失敗を恐れることはありません。
現像
露光した印画紙をイーゼルから取りだし、現像液のバットに入れます。
バットに入れる際は、画像面を下にした方が無難なのですが、実際のところどちらでもあまり気にしなくていいように思います。ボクは下向きです。
印画紙を入れたところで、キッチンタイマーなどで計時を始めます。
基本的には製品の説明に従うことになりますが、標準的な現像液でのRC印画紙の現像時間は60秒〜90秒、長くても120秒ほどと、短い物です。
これは最低限それだけは現像しようという意味だと思ってください。
少々長い方が無難です。かりに指定が60秒となっていても、90秒現像した方が無難ですし問題もありません。
最近のほとんどの印画紙では、生半可なことでは現像しすぎという事はありません。現像不足よりもはるかにいいでしょう。
また、フィルム現像ほどシビアではありませんので、秒単位でタイマーとにらめっこする必要はありません。時間が来たからと慌てて印画紙を掴んで折ってしまったり、うっかり落としてしまったりしないよう、焦らずノンビリやりましょう。
正直、ボクはタイマーで測ることもせずに口で適当に時間を数えてます。
仮に90秒の現像時間なら、80秒でも100秒でもなんら問題ありません。それくらい大雑把だと思って結構です。
心配でしたらば、画像面を上にして観察していてもいいでしょう。
RC印画紙ですと現像液に入れて数秒のうちに画像が出始め、徐々にはっきりとしてきます。
段々と濃くなりますが、ある程度の時間が経つと変化が無くなり、それ以上は濃くなりません。全体の現像時間は、現像の進行が進まなくなるまでにかかった時間の1.5倍ほどあれば十分かと思います。
画像の現像の状態を見ながら現像をうち切るタイミングを決める方法を、観察現像と言います。セーフライトが使える印画紙ならではですね。
製品に書かれている推奨現像時間は、多くの場合処理温度20℃を基準にして決められていると思います。
それより多少高い温度でしたらば問題ないと思いますが、温度が低い場合は若干現像時間を長目にした方がよいでしょう。
攪拌
フィルム現像ほど量やタイミングの繰り返し精度は必要ありませんが、現像ムラを防ぐために印画紙現像でも攪拌を行い、基本的には連続攪拌です。
方法は、ピンセット(トング)で印画紙の端を掴んで揺するという方法でも良いですが、それだと掴んだ部分の印画紙を傷めてしまいやすく、好ましい方法とは言えません。
ボクのお薦めは、バットの縁を持って少しだけ上下させ、液を揺らす方法です。
波の出るプールみたいのを想像して頂いても良いでしょう。
バットの手前の縁を持ち上げると液が奥へ移動していきますので、波が向こう正面に届くあたりで降ろし、反射した波が帰ってきたらまた縁を持ち上げます。
激しくやると液がバットの縁を乗り越えてこぼれてしまいますから加減して。
この時、液と一緒に印画紙が行ったり来たりしてしまうと、印画紙の縁がバットの内壁にぶつかって角が潰れてしまいます。
そうならないよう、片手でバットを揺らし、もう片方の手にはピンセット(トング)を持って、ピンセット先で印画紙の表面をそっと押さえておきます。
印画紙の縁がバットの内壁にぶつからないようにする、というのは、ピンセットで印画紙を掴んで揺する場合でも同じです。
印画紙の角が潰れてしまうと、みっともないというだけではなく、そこから薬液が紙の内部に染み込んでしまい、保存性が悪くなるという理由もあります。
特にRC印画紙では注意が必要です。
停止
印画紙現像、特にRC印画紙では現像しすぎというのがほとんどありませんので、あわてて現像を止める必要はありませんが、印画紙現像における停止浴は、現像を止めるという他に、続く定着液に現像液を出来るだけ持ち込まないという意味もあります。
基本的に現像液はアルカリ性で、アルカリ性でなければ現像は進みません。
そこで停止液を酸性として中和し、現像の進行を急激に止める仕組みです。
そして、続く定着液が一般的には酸性なので、アルカリ性を排除することで、定着液の能力が失われないようにするわけです。
現像時間が過ぎたら、ピンセットで印画紙の縁をつかみ、持ち上げます。
印画紙を吊すように持っていると、印画紙に付いていた現像液がポタポタと流れて落ちていきます。
最初はジャーッと流れますが、残りが少なくなるとポタポタポタから、ポタ、ポタ、という感じになってきますので、頃合いを見て停止液のバットに印画紙を入れます。
8x10印画紙で、だいたい5秒か6秒くらいではないでしょうか。
その際、少しでも早くしようと印画紙を振ったりしてはいけません。
なにも慌ててやらなくてはならない作業ではありませんし、無理な力を掛ければ印画紙を傷めてしまいます。
印画紙に折り目でもついたらその時点でゴミですから、やさしく丁寧に扱いましょう。
停止浴での攪拌も現像と同じ要領での連続攪拌です。
正しい濃度の停止液であれば、時間は10秒ほどもあれば十分。
これも正確に秒単位で10秒という性格のものではありません。
タイマーなどを使うこともなく、口で数えるだけでも十分な精度でしょう。
時間が過ぎたら、同じ要領で定着液のバットに移します。
定着
フィルムと同様に、現像処理の最後は定着です。
定着というのは、現像の際に現像されなかった銀を除去する工程です。
現像ですと銀が現像されて画像になるのが目で見えますから、観察していれば進行具合がわかりますが、定着処理は現像されていない銀に作用するものなので見た目が変化しません。しかし正しく定着されていないとプリントの保存性に大きな影響があります。
定着液の能力がちゃんとある事、つまり使いすぎて疲労しすぎていないこと、必要とされる定着時間をちゃんと守ること、などに気を付けましょう。
停止浴から定着液に印画紙を移したら、やはり同じ要領で攪拌します。
実際には長すぎる定着浴には害があるのですが、これも生半可なことでは起きません。
秒単位の緻密な時間管理は必要ありませんが、定着不足は絶対に避けたいので、製品のメーカーが推奨する定着時間、処理枚数の制限は守りましょう。
イルフォードの「ハイパムフィクサー」ですと、1:4希釈でのRC印画紙の定着時間は30秒、1:9希釈でも1分と短いものです。
この時間をケチってもしょうがないでしょう。
定着時間が過ぎたら、印画紙をピンセットで持ち上げて液を出来るだけ落とし、空のバットに入れ水洗に移ります。
水洗
RC印画紙の水洗は非常に簡単で、短時間で終わります。
印画紙を入れたバットに水を注ぎ、軽く揺らして攪拌し、排出します。
これを2、3回繰り返した後、流水で2分ほど水洗すれば十分です。
多い水量で激しく洗えば、30秒ほどでもOKですが、印画紙を折ったり曲げたりしないよう気を付けましょう。
なお、水洗に使う水の温度は5℃以上と、イルフォード社は指定しています。
この水洗時間は、RC印画紙で、非硬膜化タイプの定着液を前提としています。
繰り返しになりますが、印画紙に硬膜化タイプの定着液は好ましくありません。
もし硬膜化タイプの定着液を使っているのなら、定着液のメーカー指定の水洗時間、あるいは水洗促進剤の使用も含め、指示に従ってください。
乾燥
RC印画紙の乾燥は大量処理用に専用のドライヤーもありますし、一般家庭にあるヘアドライヤーを使って短時間で済ます事も出来ますが、洗濯ばさみ等で吊して自然乾燥が一般的でしょう。
テストプリントでは、早く乾燥させるためにスポンジで表面の水滴をとり、ドライヤーを軽く当てて乾かしてしまうことがよくあります。
自然乾燥では、乾燥時に水滴によるムラが出来ないように水滴防止剤(富士ドライウェル等)を使いますが、水滴防止剤を使うと表面に艶が出て、それが作風とマッチしないことがあるかも知れません。
そうした場合にはスポンジで表面の水滴を取り除いてから自然乾燥させても良いでしょう。
ボクはイルフォードのRC紙ではパールという半光沢の表面仕上げのものを使っているのですが、水滴防止剤もスポンジも使わずに自然乾燥させても、気になるムラなどは出ないようです。
もし可能ならば、乾燥に移る最後の最後に、フィルターを通した綺麗な水にいったん浸けてから乾かすのが望ましいです。水道水の中の不純物がプリント表面に残る事を避けるためです。
水滴防止剤を使うのであれば、使用液は出来れば精製水で、少なくともフィルターを通した水で作ります。
RC印画紙は自然乾燥させるだけでほぼ平らになりますので、乾いてしまえばこれで完成です。
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