モノクロ写真の引き伸ばしプリント
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プリントを「作る」
これまでの工程で、画像のもっとも暗い部分、つまりディープシャドウも、もっとも明るい部分、つまりハイエストライトも、それぞれ印画紙の階調幅目一杯にならないという、軟調なテストプリントを作成しました。
そのテストプリントをよく見て、完成プリントの姿を考えます。
モノクロ写真というのは、色がない分だけ黒から白に至るまでのグレーの階調が非常に大切です。
黒から白までの変化がはっきりせず、メリハリに欠けるプリントはよく「ネムい」と評されますが、逆に黒と白ばっかりのガチガチで滑らかさがないのも困りますよね。
もちろん、それぞれに表現意図があって、それが上手くキマっていれば素晴らしい写真、素晴らしいプリントには違いありませんが、意図的にそういった表現を狙うのではなく、単にプリントが下手だからそうなってしまう、というのでは恥ずかしいですよね。
せっかくの写真が恥ずかしいプリントにならないよう、少しでも質の高いプリント作りを目指しましょう。
軟調なテストプリントの中で、ディープシャドウに相当する部分。
そこにあるディテールや質感が、黒く潰れない方が良いのか、それともある程度は質感を失っても黒々とした濃さにして、プリントに強い印象を与えた方がよいのかを検討しましょう。
逆に、ハイライトに相当する部分。
そこにあるディテールや質感が、はっきりとわかる濃さにした方良いのか、あるいは詳細があまり分からなくても良いから明るくして、画面全体にキレや清涼感を出した方が良いのか。
そうした判断は、プリントを作るあなたが決めるべき事です。
特に勘違いしやすいのは、ネガ上の最も薄い部分、つまり画面の中でもっとも暗くなる部分を印画紙上でもっとも濃くし、ネガ上の最も濃い部分、つまり画面の中でもっとも明るくなる部分を印画紙上でももっとも薄いグレーに「しなくてはいけない」、あるいは、黒から明るいグレーまでの階調が「ひととおり揃ってればいい」といった事です。
どちらもその通りで、それで自分の意図する表現になるのであれば最高です。
しかしあくまでも、印画紙上でもっとも濃い黒にするのは、あなたがもっとも濃い黒にしようと考える部分です。
もっとも明るいグレーにするのは、あなたがもっとも明るいグレーにしようと考える部分です。
同時に、印画紙の最も濃い黒はそれぞれに限度がありますし、もっとも明るい部分は印画紙の地の白以上に白くはなりませんから、そうした限られた印画紙の階調幅を、自分の意図の中で出来るだけ使い切る、というのも非常に大切です。
写真を撮る事を英語では "take a picture" だと学校では習いましたが、特にモノクロ写真、特にモノクロプリントは、"take" ではなく "make"。自分の意志で「画」を作る物です。
本番プリント
第一段階のテストプリントは軟調な物でしたから、本番プリントはそれよりも硬調になっていかなくてはいけません。
テストプリントを2号フィルターで作ったのなら、2.5号とか、3号で完成プリントに持っていく事が多いでしょう。
そうしたフィルターをセットして、あとはこれまでにもやってきた手順で露光時間を決めてプリントします。
露光時間の決め方や、コントラストの決め方は他にも方法があり、このサイトでもいくつか紹介していますが、特定の号数のフィルターを使って段階露光を行い、大まかな露光時間を決めてプリントし、その結果から露光時間や号数を微調整するというやり方は、もっともオーソドックスな基本的手順なので、まずはこのやり方になれるのが良いと思います。
コントラストが高すぎるとか、撮影時の露光量が多すぎる、逆に少なすぎると言った、ネガの状態によってはオーソドックスな方法ではうまくいかない、と言うこともありますが、ひとまずそうした難物のネガはパスして、プリントしやすいネガで完成プリントを得る楽しさを満喫するのも悪くないと思います。
最初から欲張らず、ひと通り基本的なプリント手順を覚えて、ある程度無難にこなせるようになってから、新たなテクニックを学べばよいと思います。
本番プリントの作成では、画面の暗いところが、自分でこれくらい濃い黒で良いだろうと考えた様に黒く、明るいところが自分でこれくらいは明るいグレーでよいだろうと考えたところまで明るくなるように、露光時間と共にフィルターの号数も変えながら調整していきます。
慣れてくると、今の状態からどれくらい露光を増やしたり減らしたりすれば狙ったところに収まるかとか、フィルターを何号変えれば思い通りになるかといった、予測がつくようになりますので意外と簡単に出来るものですが、最初のうちはあれを変えてはこれを戻し、こっちを戻してはあっちを変えて、というように、行きつ戻りつするかもしれません。
それが悪いこととはボクは少しも思いません。
そうした経験を積んだ上で初めて、先に挙げたような予測が出来るようになるものです。
露光時間が足りなかったとか多かったとか、号数が低かった高かったといった、作業途中で出来るテストプリントを失敗プリントと呼ぶ人もいるのですが、それは明らかに間違いです。
ボクらはワークプリントと呼んでいますが、それらは失敗ではなく、あくまでも完成プリントへの過程で生まれる必要不可欠な物なのです。
ときどき、テスト露光1回でプリント完成とか、毎回同じ号数と露光時間でちゃんとプリント出来るといったような事を自慢げに言う人を見かけますが、よほどの達人ででもない限り、そうした人たちのプリントは大した物ではないでしょう。
露光時間の検証のところでも書きましたが、それよりも短い露光時間、あるいはそれよりも長い露光時間の方が良かったかも知れないのに、それを確かめていないようではベストなプリント作りは望めません。
コントラストについても同じです。
常により良い可能性を探し、容易に妥協しないという姿勢が望ましいです。
行きつ戻りつは、すればするほど上達します。完成プリントは、たくさんのワークプリントから生まれる物だと思ってください。
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