カラーネガ現像の処理液
さて、カラーネガの現像はさして難しくない事がわかったところで、処理液をどうやって入手するかです。
これには、おおきく分けて3通りあると思いますが、どれを選ぶかはその趣味性の高さ・低さ、現像精度の高さ・低さ、手間の多さ・少なさ、処理量の多さ・少なさ、そうしたものを含めたコスト、などが要素としてあるでしょう。
コストという部分では、自分がいくらなら自家現像のメリットとして考えられるかというのを明確にしておく必要があると思います。
ミニラボなどに現像のみで出すと1本300円だったとして、では200円ならどうか、150円ならあなたにとって、手間を掛けて自家現像する価値があるのか、という話です。
逆に、自分で現像すればお店に持っていく手間もなく、出来上がりを待って取りに行く必要もない、という考え方もあります。
撮影して家に帰って好きなときに現像して即出来上がりというのも自家現像のメリットです。値段だけではないんですよね。
そのあたりも含めて、ある程度考えておかないと、無駄な買い物をしたり無駄な手間を掛けてしまったりします。
そしてもちろん、自家現像だ、という楽しみも大きいでしょう。
ただし、「カラーは科学、モノクロは錬金術」なんて言葉があるように、カラーネガ現像は処理が基本的に統一されているので面白さではモノクロに劣るように思いますが。
なんにしても、自分の目的や要求を整理する事。
わりと頻繁に、この方が安いとかあっちの方がどうだとか、本質を見失った議論を目にしますけど。
それと、自家現像だと同時プリントとかインデックスプリントというのはありませんし、自分で作ろうと思ったら大変な手間暇ですから、その辺も考えた方がいいですけどね。
モノクロよりカラーネガの方が、オレンジマスクがあるせいでネガを見てもなんの写真か分かり難いです。お店で現像したときに作れるインデックスプリントは、ホントに有り難い存在なんですけどね。
市販のホビー処理液
海外にはいくつか種類がありますが、日本国内で一般的なのはナニワのカラーキットNでしょう。というか、今はこれ1種類かな。
現像液と漂白定着液の2液処理で、それぞれ処理液500ml用x2セット=つまり各1リットルが入って2800円くらいで売られていると思います。
1リットルの処理可能本数は135フィルムで20本となっています。
つまり、仮に額面通り無駄なく使ったとすると、1本あたりの現像コストは140円くらいっていう事になります。それなら安いように思えます。
ですが、この製品については、現像液の保存期間が短いので、ある程度の未現像フィルムを溜めてから使用液を作らないと無駄が多く出てしまうという声をよく目にしますね。
しかし、使用液をペットボトルなどのクチいっぱいに入れてキャップをしっかりと閉め、冷蔵庫など低温で保存しておけば、未使用の使用液は説明書の記載よりは長持ちします。
問題はそうではなく、ナニワカラーキットNのコスト面での問題は、1リットルの処理液で20本を現像してようやく140円というコスト計算になるという点なのです。というか、20本の処理に1リットルしか使えないという意味。あるいは、1リットルで20本と謳っているところでしょうか。
わかりやすく言うと、1リットルで20本なら、1本あたり50mlの現像液という計算なのですが、50mlの現像液では普通にフィルムを現像出来ないのです。
径の細いステンレスリールとタンクの組み合わせでも、最低でも、225mlを1度に使わないと35ミリフィルムが全部浸かりませんよね。現像タンクによってはもっとでしょう。
つまり、1リットルで20本現像するには、同じ使用液を何度も繰り返して使わないとならないのです。1回使い捨てというわけにはもちろん行きません。
当然、現像すると現像液は疲労して現像力が弱くなりますので、2回目以降は現像時間を延長して調整する事になりますが、どの程度延長すればいいのかというのは説明書に書いてあってもあまり当てにはなりません。
この事の問題点は後述します。
自家調合
最初に断っておきますが、モノクロでもカラーでも、薬品の自家調合がコスト的に安上がりになるという事はあまり起きません。
ボクもモノクロではかなり自家調合をやりますが、市販品と同じものを作ったらほとんどのケースで割高になるか、手間を掛けたほどではないという結果になります。
ボクが自家調合をするのは、市販品には無い特徴や性能を持った現像薬を使いたいからです。あとは勉強のためと、なにより趣味性ですね。
メーカーは原材料である薬品を大量に安価に仕入れますが、アマチュアユーザーが自分で消化する程度の薬品を、つまり小瓶で買うと非常に割高になります。
だからといって大瓶で買うのも考え物です。
ついつい、これのグラム単価がいくら、あれがいくらと、実際に混ぜる量だけを積み上げて、これなら十分安いなどと考えたり吹聴したりするものですが、その量を果たしてバランスよく消費するでしょうか。
あれが残った、これが余ったなんて事になれば、その分は単純に割高です。そして残念ながら、必ずと言って良いほどそうなります。
それ以上に、だいたい途中で飽きちゃったり面倒くさくなったりして、せっかく安く上げようと大きな量のビンで買った薬品の大半が無駄に戸棚に眠っている、何て事になりますよ。
以前、ヤフーオークションに一般の方がCD-4(カラーネガ用現像主薬)の500gビンを出品しているのを見ましたが、500gのCD-4でいったい何本のフィルムが現像出来るか分かって買ったのかなぁと思ってしまいました。普通の効率の処方なら、軽く見積もっても5000本ですよ。
それに、CD-4が実は乾燥状態でも劣化しやすく、長くは保存出来ない事を知っていたのかな、とかね。年間1000本以上も、ボクはとうてい現像しませんけど。
ほとんどのアマチュアユーザーの自家調合は、だいたいは興味本位で始まって、捕らぬ狸の皮算用がタンスの肥やしになるパターンですね。
もっとも、趣味性という点では自家調合は非常にポイント高いので、それが目的なら是非挑戦してみる価値はあると思います。
そのかわり、コスト云々はあまり言わない方が賢明です。後で恥ずかしくなりますからね。
もし自家調合で、薬品をロス無く使い切れるほどの処理本数があるなら、コスト的には次に述べるミニラボ用薬品の方がずっと有利ですし、品質・性能的にも安心ですしね。
カラーネガフィルムの現像処方は、現行の商業用は各メーカーの機密で公開処方ではありませんが、C-41相当の処方は古くから公開されていますし、新たに処方を起こした方もおられますので、ちょっと調べればネット上ですぐ見つけられます。
ミニラボ用薬品
ボクが使っているのはこれです。
ミニラボ用は商業ユーザー向けに大量に作られていますから、非常に安価な製品にする事が出来ますし、そもそもが本物ですから、品質も性能も信頼が置けます。
コダックや富士と言ったメーカー純正品もありますし、コピー機やレーザープリンターのトナーと同じようなもので、サードパーティ製がさらに安く売られているのが魅力です。
サードパーティ製と言っても互換性は高いとみていいでしょう。
コスト的には、少々のロスを出したとしても、1本あたり100円を切るのは簡単です。それも、もっとも現像精度の高い方法、つまり現像液の1回使い捨てにしても、です。
ミニラボと同じように、各処理液で補充サイクルを回すとしたら、1本あたりの現像コストは13円くらいにまで下げられます。これはあくまでも理想的な状態で、ですけど、普通に考えても自家調合よりは遙かに低コストで無駄も少ないと思います。
当然、処理するペースが遅くて使用液の空気酸化などによるロスが上回ってしまうと、補充サイクルは理想的には機能しませんので、なかなかお店の原価のような低コストには出来ませんが、現像精度重視で現像液を贅沢に使っても、1本100円は楽勝だと考えると魅力的ではないでしょうか。
ただし、まがりなりにもミニラボ用の製品ですから、販売されているのは現像液40リットル分といった単位になります。
現像液40リットルで、仮に現像液は1回使い捨てにしたとしても135ミリフィルム約170本分。
ナニワカラーキットNと同じく1リットルで20本を現像液使い回しで処理するなら800本。
もし補充サイクルをC-41処理の目安通りに回すとなると、36枚撮りフィルム1600本分に相当し、発色現像だけのコストはなんと1本4円弱になります。
もっとも、いくらミニラボ用の薬品で補充サイクルだと劇的に安いと言っても、買った薬品が劣化する前に1600本も現像するかと言ったら、ボクは絶対にしないですけどね。
コストと販売ロットと、現像精度のバランスを考えると、ミニラボ用の現像液では1回使い捨てとか、使い回しても2回とかが納得の線ではないかなと思います。
ちなみに、現在ミニラボ用の薬品を一般ユーザーが入手容易なのは、オリエンタルダイレクトさんだと思います。コダックや富士の純正もありますが、オリエンタル製の代替品が安くてお勧め出来ます。
注意点は、売られているフィルム現像用の薬品はC-41やC-41Bではなく、C-41RA用だと言う事です。
発色現像液はC-41系処理全てで同じ(富士のCN-16系も大同小異)ですが、漂白液や定着液は処理時間が短いタイプになります。
また、ミニラボ用の薬品は後述する補充サイクル用の物なので、補充液という形で作られている点も要注意です。補充液を、補充としてではなく現像液として使うには、スターターと呼ばれる薬品を使って成分を調整する必要があります。
C-41RA処理用の薬品だからと言って、なにも水洗を省いた迅速なRA処理をする必要はありません。各処理液の処理時間はRA処理を目安に短く済ませ、現像の後、漂白の後、定着の後と、水洗はしっかりやるのが良いでしょう。
いずれにしても、ミニラボ用のように1本単価が安く上がる薬品は販売ロットが大きい事を念頭に置いて、自分がどれくらいのペースで撮影して現像するのかをしっかり考えて選ぶようにしましょう。
自分のキャパシティ以上の薬品を買っても無駄ですよ。
使わなかった薬品を捨てるとき、とっても後ろめたい気持ちになること請け合いですね。
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