微粒子現像液
粒子を目立たなくさせる現像液。 銀粒子を溶解する成分(ほとんどの場合は亜硫酸ナトリウム)が多く含まれているので、ぺたっと滑らかになる。 代表的なものは現像主薬にメトールを1リットルあたり数グラム使い、それにたいして亜硫酸ナトリウムを100g程度含む。
国内で普通に売っているものでは、富士写真フイルムの「ミクロファイン」、イルフォード「パーセプトール」などが代表例かな。 自家調合ではD23処方(調合済み製品も市販もされてる)なんかがメジャー。 D25などはさらに微粒子化効果が高い。
いずれも粉末タイプであらかじめ溶解して用意しておきます。 どれもあんまり違わないので、入手しやすいのを使えばいいんじゃないでしょうか。
ミクロファインなんぞは安い(中身がシンプルだもんな)し、「微粒子!」って言葉にココロ惹かれるのが人間ってもんだから、実にもってよく使われているのでは無かろうかと思う。 ボクもたくさん使ってきました。
現像主薬がメトール単用であるという点から、フィルムの感度をどうしても得にくいのが弱点。 表記されてるISO感度の半分くらいになるのが普通だと思う。 ネオパン400プレストだったら感度200って事。
微粒子は微粒子でいいんだけど、やっぱりどうしてもあま〜い感じの描写になりがちなのも確か。 粒子が目立たなくなるってことは、ぶっちゃけて言うと微細な輪郭がぼやけているって事でもあるんだよね。 だから見た目のシャープさに欠ける。

感度は要らない、描写もあまくてもイイからとにかく微粒子!という場合は微粒子現像液なのは言うまでもないのだけれど、どうも人間「微粒子」という言葉に弱いものだから、超微粒子の中庸感度(ISO100クラス)フィルムにさらに微粒子現像液を組み合わせてしまいがち。 かなり大きなプリントを前提とするならともかく、そこまでは必要ないというケースも実際には多いのでは無かろうか。 微粒子フィルムと微粒子現像液にもデメリットはある。なんでもかんでも微粒子ばかりでは芸がないですよね。
微粒子を少々犠牲にしてもイイからもうちっとシャープに、という場合は微粒子現像液を薄めるのが一般的、いわゆる希釈現像ってやつ。 例えば1:1希釈だと現像主薬が半分に減るから現像力が落ちて処理時間が長くなる。 長くなるとミスしにくいので結果が安定しやすいというメリットもある。 メトールというのは単用では疲弊しやすいため、ハイライト付近での現像の進行が滞りがちになり、ハイライトの白トビを抑える方向に働く。希釈することでこの性格がより強く出るようになります。 同時にこうした局所的な疲弊はエッジ効果によるシャープネスの向上にもつながるので、亜硫酸ナトリウムの量が半分になったため溶解による見た目の微粒子化が弱くなり、つまりは微細な輪郭のぼんやり感が少なくなる事と相まってシャープな描写となる。
もともとフィルムが超微粒子な中庸感度フィルムであれば、多くの場合超微粒子現像液では原液ではなく希釈液の方が好ましい結果を得やすいと思う。
これが高感度フィルム(ISO400)クラスで、なおかつトラディショナルタイプだと希釈現像は微妙な判断かもしれない。 ボクの感触では、富士ネオパン400プレストとミクロファイン1:1希釈の組み合わせでは、8x10インチのプリントが粒子を意識しなくていい限度に思えます。 もちろん、粒子が見えることは必ずしも悪いことではなく、見た目のシャープさを優先するなら少々見えていた方がいいんですよね。 あくまでも目的次第。
コダックT-MAXやイルフォードDELTAといった新型フィルムでは、高感度フィルムでも微粒子現像液の場合は希釈現像がボクには好ましく思える。

標準現像液
非常にあいまいな呼ばれ方だけれども、それなりに感度も出てそれなりにコントラストも出て、コストも安くてという感じ。 普通はこれ一つで十分間に合うでしょうというタイプ。
コダック「D76」イルフォード「ID11」が代表。 メトールを現像主薬にし、軟調さの弱点を解決するためハイドロキノンを組み合わせた上に微粒子現像液並の亜硫酸ナトリウムを使ったものが長年の主流。 コダックにはビタミンC系の「XTOL」もある。 日本の富士写真フィルム製品でもビタミンC系の「フジドールE」が標準現像液というポジション(無くなっちゃうけど)。 いずれも粉末タイプ。
濃縮液を使用時に希釈するものではコダック「HC110」イルフォード「LC29」、アグファ「ロディナル」(標準と言うには疑問も残るが)などが日本でも売られてる。 富士写真フィルムにもあり、簡単に使えて場所をとらず便利と思われる。保存性もいい。

「D76/ID11」は標準現像液という位置づけだけれども、言うなればコントラストもちゃんと上がる微粒子現像液と言っていい。 メトールは単用では疲弊しやすいと書いたけれど、これは感光したハロゲン化銀を銀に変換した「使用済みメトール」が銀粒子の上に堆積して次の現像を妨げるため先が続かなくなるらしい。 ハイドロキノンをメトールに組み合わせることで、「使用済みメトール」がハイドロキノンにより除去され、活発な現像が続くのである。 メトールとハイドロキノンからそれぞれ1字ずつとってMQ現像液と総称されるのはご存じの通り。
メトール単用の微粒子現像液ではコントラスト・濃度とも上げにくいという弱点を解決したのがこのタイプで、ある程度現像を押すこともできるため汎用性が高く、そう言う意味で標準現像液と言われるのだと思います。
溶解による微粒子化を行う亜硫酸ナトリウムの量は、微粒子現像液と同様に大量に使われているので、やはり見た目のシャープさを求めるには希釈現像が効果的。 実はボクはMQ現像液をあまり使っていないのでこれ以上は言える立場じゃないのだけれど、見た目のシャープさはエッジ効果を得やすいメトール単用現像液の希釈使用に軍配が上がるのではないかと思います。
ハイドロキノンではなくアスコルビン酸(ビタミンC)を現像主薬とする「フジドールE」や「XTOL」も汎用性の高さから標準現像液と称されるのでしょう。 従来の処方より環境に優しいという謳いでコダックは「XTOL」にかなり賭けていたようで、性能面でもD76を凌駕し、コダックの資料では同社現像液の中で最高の総合力だとしています。
富士の「フジドールE」は感度も得やすいし増感にも使えるし、万能に近いですね。 ボク自身は、「ミクロファイン 1:1」より「フジドールE 1:1」の方が3分の1段程度高い感度が出て、粒状性もそこそこで、見た目のシャープさは上という印象。 「フジドールE」は価格も安いし、もっと広く使われていい現像液だと感じます(無くなっちゃうんだけど)。
フェニドン-アスコルビン酸(MQやPQにたいしてPCと呼ばれたりします)はまだこれから研究と普及が進んでいくジャンルでしょうね。 メトール単用はもとより、MQ処方より感度も得られるし補完現像効果も高いでしょう。

増感現像液
出来るだけ感度を出し、濃度も上げ、だけれども出来ればコントラストは抑える、というのが増感現像液。 感度を出すためにフェニドンを現像主薬にし、コントラストが上がらないフェニドンの弱点を補うためにハイドロキノンを組み合わせる。 現像を押すとどうしても粒子が荒れるので、亜硫酸ナトリウムも微粒子現像液並に入ってる。 強力な現像力ながら現像時間を引き延ばして穏やかに進めるためにpH低め、というのが増感現像液の代表であるイルフォード「マイクロフェン」。 現像中に一時的に疲弊しやすいのでハイライトでの現像が進みにくく、感度を出しながらもコントラストが上がらないというのがポイント。
フェニドンとハイドロキノンの組み合わせは、それぞれ1字ずつとって「PQ現像液」と呼ばれ、メトールによく似た性格のフェニドンはハイドロキノンによる再生が速く行われるので、MQ現像液よりPQ現像液の方が一般的に強力。 また、フェニドンは露光量の少ないハロゲン化銀とも反応しやすく感度が出しやすい。
富士写真フイルムの増感現像液「スーパープロドール(略してSPDと称する事が多い)」は価格はメチャメチャ安いけれどイマイチ。コントラストも上がりやすくて使いにくいと思う。 処方は非公開だが、製品安全データシートを見る限りでは一風変わった面白い処方みたい。

イルフォード「マイクロフェン」は価格が高いのが欠点。 1リットル用で800円くらいするのではないか。 原液使用だと1リットルで35ミリフィルム10本はいけると言いますが、ボクは(あくまでも気持ち的に)繰り返し使用が好きじゃないのでどうもなぁ、というところ。 現在は自家調合しているでのコストは問題になりませんが、この価格のせいであまりお勧めしにくい面もある(それ以前に日本国内での販売がなくなっちゃったけど)。
補完現像効果がとても高い現像液で、ごく普通の攪拌メソッドでもハイライトを飛びにくくする事が出来るが、そのせいもあって、うっかりすると軟調になりすぎる嫌いもある。 標準現像にも使えるが、やはりある程度の増感でないと意味がないでしょうね。攪拌サイクルを変更することでさらなる使いこなしも可能です。
現像が早く進むフィルムでは現像時間が短くなりすぎるため、撮影感度によっては希釈使用することもあるが、その場合ややカリカリした描写になるので、出来れば原液使用が望ましいと思う。
と、書いていたのですが、イルフォードの日本代理店である中外写真薬品さんが「マイクロフェン」の取り扱いをやめてしまったので困りました。 ボクは自家調合なので平気ですが、日本国内で普通に販売されていないものをオススメするわけにもいかないですしね。
富士のSPDなどもありますが、コレはボクはイマイチだと思っているので、増感現像用ではフジドールEかコダックXTOLが良いんじゃないでしょうかと言っておきます。 うん、フジドールEはオススメできますね(だから、無くなっちゃうんだって)。

その他
市販品で強いて挙げればリスフィルム・コピーフィルム用現像液。 もともとハイコントラストなコピーフィルムを超ハイコントラストに現像するためのもの。 希釈してプリントの現像に使うのがリスプリント
逆に、コピーフィルムの超微粒子を普通の被写体に使うため、POTAという名前の超軟調現像液を使用する事もあるらしい。 ボクは必要がないので未経験。というか、微粒子を得るためにコピーフィルム、っていうのがイマイチ納得いかない。
現像液の種類に2浴現像液というのがありますが、このような微粒子・標準・増感という区分けとはまた違うきり出し方なので、こちらのページをご覧いただくと言うことにしてココでは言及しません。

まぁ、有り体に言って、感剤も薬品の処方もかなり研究や改良が進んでいるのに、現像液に関しては(現像液に関しても)流布している情報が半世紀も前からあんまり変わってないのが実情だと思います。
なまじモノクロ写真っていうと伝統的なもの、みたいなイメージがあるから、ほとんどやり尽くされているような印象を持つかも知れないけれど、21世紀になってからも新しい現像処方はどんどん出て来ていますしね。

使い分け・使いこなし
フィルムと現像液にはいろいろな組み合わせがあって、ついあれこれ試したくなるモノだけれど、フィルムの自家現像を始めた最初のウチは、一つの組み合わせを繰り返し経験していくのがやはり良いと思う。 ある程度経験を積まないと、違いというものが何に起因しているのか、あるいはそもそも何がどう違うのかわからないまま、気分だけが先行してしまいがちなものである。 先に挙げた微粒子現像液、標準現像液、増感現像液といった3分野から、必要ならそれぞれ1種類ずつピックアップして使えばいいんじゃないでしょうか。
ある程度馴れてきて、撮影時の天候や光線状態や露光量や、現像時間の長短といった要素での違いというのを理解したら、次のステップとして別の要素を試してみましょう。
一つには、微粒子現像液のところで述べた希釈現像。 この希釈現像という言い方は、既存の処方を薄めて使うために言われるわけですが、実際には異なる処方にしている事になります。 単純に水で倍に薄めたから現像力が半分とか、そういう次元のものではないです。 また、原液ではコントラストが上がりすぎるので希釈現像がいい、というのも本来は違うハナシであって、そういう場合は現像時間を切りつめるか処理温度を下げるのが本筋。 というのも、すでに述べたように希釈することで微粒子化効果が減退し、現像液の局所的な疲弊による補完効果やエッジ効果も異なって出てくるからです。 希釈したら(希釈率を変えたら)、ある程度違う現像液だと考えるべきだとボクは思います。

攪拌というのもフィルム現像では非常に大きな要素です。 一般に、攪拌が多いとコントラストが上がる、少ないと下がるというのはご存じか、聞いたことがあると思いますが、これは本当。 そのため、攪拌方法や量をかえてコントラストを調整するというテクニックを言われることもあり、行っている人も多いかもしれません。
とはいえ、ボクはこれには反対というわけではありませんが、正直に言って気が進まないです。 現像量によってコントラストを調整するのには、現像時間を変えるという方法が当たり前で、また繰り返し精度が高いと考えるからです。
現像時間を長くすると現像がより進み、時間が短いと現像が進まないうちにうち切るわけだから現像量は変わる、つまりコントラストが変わる。 攪拌を多くすると現像量が多くなるのは、フィルムの乳剤面に接している現像液が頻繁に入れ替えられるため、一時的に疲弊した現像液が乳剤面に接している事による処理の停滞が減るからですね。 現像時間を長くするのと、同じ時間内で攪拌を多くするのとでは、同じように全体の現像量が増え、コントラストが上がる。しかしその仕組みは異なるわけ。 コントラストの調整に2つの方法があるのなら、なにもその2つを使って物事をヤヤコシクする必要はないでしょう。 現像時間の長短でコントラストを調整し、攪拌の変更は別の調整に使えばいいんです。
それが何かというと、先ほど出てきた疲弊した現像液の入れ替え。
現像中に現像液に浸かっているフィルムは、現像液全てに接しているわけではないのは当然で、ある瞬間にフィルムに接している現像液はフィルム表面に位置しているわずかなもの。 したがって、現像中にはフィルムに接している現像液だけが局所的に疲弊して現像力を失ってしまいます。 特に使用状態の現像液の容量に対して含まれる現像主薬の量が少ない場合にはこれが顕著。
例えば、現像タンクをいっぱいにする現像液の中に10gのメトールが入っているとして、そのタンクが1リットルなのか10リットルなのかではまるで違うことがおわかりですよね。 現像液全体に含まれるメトールの量は同じですが、とある瞬間にフィルムに接しているメトールの量はまるで異なります。 したがって、原液使用よりも希釈使用の方が局所的な現像液の疲労が起こりやすいわけですが、このフィルムに接していて局所的一時的に疲弊した現像液を新鮮なものと入れ替えるのが攪拌という作業です。
現像液が一時的に疲弊すると何が起こるかというと、それは言うまでもなく現像進行の停滞です。 現像液の疲弊は感光したハロゲン化銀を銀に変換すること、つまり現像を行うことで発生するので、感光したハロゲン化銀が多い部分と少ない部分では疲弊する度合いも異なります。 感光量の多い部分、つまりハイライト部分では早くに疲弊して現像の進行が停滞します。 感光量の少ない部分、つまりシャドウ部分では現像液が疲弊しにくいので現像の進行が継続します。 こうした現像の不均衡が、一度攪拌されてから次の攪拌までの時間に起こるわけです。
露光量の多い部分はそもそもネガの濃度が上がるわけですが、こうした現像の不均衡がそれをある程度押さえ込んでしまう。 単に全体の現像量を増やしてネガの濃度を上げると、ハイライトの方が現像は進むからシャドウ部分は置き去りにされてしまいますが、こうした現像の不均衡を利用することで、同じ程度のハイライト濃度でもシャドウの濃度を高めることが出来ます。 逆に言うと、同じ程度のシャドウ濃度を確保してもハイライトの濃度が上がりすぎないのです。
こうした現象を補完現像効果と言うんじゃないかと思うんだけど日本語での言い方を知らないのでもしかするとボクの造語かも知れない。そうだったらゴメン。
それはさておき、こうした現像の不均衡は攪拌から攪拌までの間に起こるわけなので、攪拌のサイクルを変更することで効果の出方を調整出来る。 例えば、1分ごとに攪拌をするのと、3分ごとに攪拌をするのとでは、疲弊した現像液を放置する時間が異なるので結果が違ってきます。
この効果が特に得やすい現像液としてはアグファ「ロディナル」が知られていて、極端なまでに希釈して1時間2時間と放置する現像方法もあるようです。 ボクは標準現像液として使っているPyrocat-HDで2時間現像というのをやったことがあります。 静止現像や半静止現像はちょっと特殊な部類に入ってしまうと思うけれど、3分に1度の攪拌という方法は、比較的無難に出来る範囲だろうと思いますし、目に見えて効果が得られるので、一度試し見てることをオススメします。 ボクはこれを最少攪拌法と呼んでいて、非常に多く使うパターンです。 通常の現像方法の1.5倍程度の現像時間を目安に試してみるといいでしょう。

補完現像効果の他に、攪拌と攪拌の間に発生する別の現象があります。 俗に境界効果と呼ばれているもので、これも現像液の局所的な疲弊によって引き起こされます。
繰り返しになりますが、露光量の多い部分では比較的短い時間でフィルムに接している現像液が疲弊してしまい、露光量の少ない部分ではそうはならない。 そうした露光量の異なる部分が隣接しているところでは何が起こるかというと、露光量の多い部分、つまりより多くの現像力を必要とする部分に、新鮮な現像液が引っ張られるのです。 つまり、露光量の大小が隣接する境界部分で、露光量の少ない方から多い方へ現像力が局所的に移動する。
すると、この境界線を挟んだごく狭い範囲では、露光量の少ない部分の現像力が低下し、露光量の多い部分の現像力が増加するんです。
こうした移動は広い範囲ではさすがに起こらないから、大きな目で見ると補完現像効果となる現像力の不均衡が、極小の境界部分では逆向きの不均衡になるわけ。
これによって、明暗の境目で明るい方がより明るく、暗い方はより暗くなり、結果的に境目がよりハッキリと、見た目にシャープな描写となるのです。
これをさしてエッジ効果と呼ぶことが多いです。 パソコンでの画像処理でいうアンシャープマスクのようなものを想像してもいいですね。

滑らかな階調やディテールに飽きたら、たまには見た目に強い印象のある写真にしたいと思うことがあります。 ガリガリとした描写で粒子の目立つ荒々しい写真も非常に魅力的なもの。
残念なことに、世の中に微粒子現像液と銘打った製品はたくさんありますが、粗粒子現像液というのはなかなか見かけません。 また、フィルム自体も非常に微粒子なので、今や微粒子より粗粒子を得る方がやっかいという事になってるのかも知れません。
望まずとも粗粒子になってしまうケースを考えると、現像を押して、つまり増感現像したら粒子が荒れてしまうというのがあります。 また、超高感度フィルムを使ったら粒子が目立った、というのもあるでしょう。 と言うことは、超高感度フィルムをさらに増感すれば粒子が目立つ写真になるハズ。 さらに、フィルム用の現像液は微粒子効果を得るための構成になっていますが、そもそも引き伸ばす必要がないために微粒子化もなにもない印画紙用現像液ならもっと効果的ではないか。
ところが、超高感度フィルムをさらに増感するとなるとそれなりに暗い所でないければ露光量が多すぎてしまうから、この手はあまり使えない。 EI6400で日中屋外、いったいどれだけ速いシャッター速度が必要なのか想像してみるといい。
では感度の低いフィルムを使って撮影し、それを強烈に増感現像してはどうか。 これが多分、よく言われる方法ではないかと思います。
実はこれもイマイチの方法なのです。 同様に、印画紙用現像液というのもイマイチの方法。 なぜなら、どちらもコントラストが非常に高くなってしまうからです。
コントラスが高い、つまり現像過多だと粒状性が悪くなるというのはホントですが、コントラストの高すぎるネガではそもそもマトモにプリントするのが難しいですよね。 しかも、仮に低い低い号数、例えば多階調印画紙で00号フィルターに収まったとして、非常に弱々しい印象になり、意外と粒子が際立たないのが分かると思います。
低感度フィルムを使っているからシャドウディテールはなく、ハイライトはトビトビで、多い現像の間に粒子の角が溶解されてるため、荒れてはいても目立たない。 粒子を荒れさせればいいのではなく、粒子を目立たせる事が必要なんです。 低い号数の印画紙では粒子間のコントラストを抑えてしまうから意外と粒子は目立たないんですね。
そこで、やはり超高感度フィルムを使います。 そして露光量を多めに撮影する、つまりやや低い感度のフィルムとして扱うから、大抵の撮影条件で使えるはずです。
それを微粒子化効果の少ない現像液、例えば希釈した現像液で軟調かつシャープに現像する。 微粒子化効果が少なく溶解されないから、粒子はきっちりと角を持っている、つまり目立つ。 その軟調なネガを高コントラストの印画紙にプリントするんです。
感度のあるフィルムに十分露光しているから、シャドウディテールもたっぷりあり、角の立った粒子が高コントラストに引き伸ばされてカッチリと描き出されるわけ。

とあるフィルムをいろいろに使いこなす、そのために現像液を使い分けるというのも楽しくまた有意義なものです。
ボクの場合、一番よく使うフィルムは富士写真フイルムの「ネオパン400プレスト」ですが、このフィルムのデータシートやパッケージには撮影感度200〜3200に至るまでの現像データが、さまざまな現像液との組み合わせで載っています。
実に幅広い範囲で使えるフィルム、と言えることになりますが、それでは最良の組み合わせは何だろうかと悩んでしまう事にもなりかねません。
常に、こうした場合、画質と撮影感度の綱引きです。 低い撮影感度での使用は感度を犠牲にして画質を優先しているわけであり、高い撮影感度での使用は画質を犠牲にしている。 つまり、画質として階調再現をあくまでも最優先するのであれば、撮影感度はゾーンシステム的なシャドウ基準実効感度、例えばEI200で、その露光量でプリントするのに適切な濃度とコントラストを得られる現像をするのが当たり前。 同時に、求めるプリントサイズ(つまり引き伸ばし倍率)で許容される粒状性とシャープさを確保することが望ましい。
あくまでもボク個人の見解という事になりますが、ネオパン400プレストEI200で8x10印画紙であれば、ミクロファイン1:1希釈あたりがオススメでしょう。 粒状性、シャープさとも十分で、処理時間も手頃です。
さらなる大伸ばしで、やはり画質を求めるなら更に感度を犠牲にしてネオパン100アクロスなりなんなりの中庸感度フィルムを使えばよいハナシだと思います。
手持ちの撮影でシャッター速度や絞り値の都合から撮影感度をEI400にしたい場合、ミクロファインはやめてD76などのMQタイプの現像液、またはフジドールEあたりの希釈が良いと思います。 ミクロファインで現像を押すと、それなりに濃度が上がっても納得のシャドウディテールは得られないと思うし、またシャープさに欠けます。
FX-37という感度の出やすいPQ現像液の1:3希釈では、ボクのテストでシャドウ基準実効感度320以上ありましたが、なかなか通常のコントラスト内では400プレストをシャドウ基準実効感度EI400までは引っ張れないだろうと思います。
いずれにしても、EI400となるとシャドウディテールは少々失う事になりますが、その分速いシャッター速度や小さな絞りでカリッとした描写になるはずです。
どちらが総合的に見て高画質かというと、出揃った階調や超微粒子が必ずしも上とは言えないですよね。 階調や粒状性を考えすぎてカメラブレを起こしていては全くの逆効果です。
言うまでもないですが、シャープさよりも粒状性や階調の滑らかさを求めるなら撮影感度を下げるべき。 撮影感度をEI400とするなら、いくらかシャープさを優先するのが理にかなっているのではないでしょうか。
さらに撮影感度を上げてEI800とした場合、標準現像液でも十分に押せる範囲ではありますが、やはり「マイクロフェン」あるいは「フジドールE」「XTOL」といった現像液が望ましいでしょう。
希釈現像と最少攪拌法を組み合わせればネオパン400プレストEI800は楽勝で、それなりに納得の粒状性と階調表現、まずまずのシャドウディテールを得られると思います。 標準的な現像でのネオパン1600スーパープレストEI800と、どちらがイイかは甲乙付けがたいレベルだとボクは思っています。
さらに感度を上げてEI1600や3200となると、素直にネオパン1600スーパープレストに切り替えるのがまっとうな判断でしょうけどね。 現像でなんとかするにも限度という物がありますから。
とはいえ120フォーマット以上では超高感度フィルムの選択肢が無いですが。 ボクは400プレストのEI1600で、マイクロフェン1:2による最少攪拌法でかなりの線までいい結果を出せていると思っていますが・・・富士フイルムに嘆願書でも出しますか(^^;


・・・さて、この続きはまた思いついたら書きます。


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