使われる薬品の主な役割
現像主薬
感光したハロゲン化銀を銀に還元する役を担う薬品。主にメトール、フェニドン、ハイドロキノン、アミドール、グリシン、アスコルビン酸など。インスタントコーヒーというのもある。
保恒剤
現像主薬は現像によって、また空気に触れることによって酸化して能力を失ってしまうため、酸化防止の目的で加えられる薬品。主に無水亜硫酸ナトリウム。
これらは同時に銀粒子を溶解する作用があるため、微粒子化・高鮮鋭度化の目的で使用量を変化させる。
アルカリ剤
現像の進行には現像液のpHが大きく影響しアルカリ性になるほど一般に現像力は高くなる。アルカリ剤は目的に合わせて処理液のpHを調整する役割で加えられる。
穏やかなアルカリで主に微粒子現像液ではホウ砂、印画紙現像液では炭酸ナトリウムなどが一般的に用いられる。
pHの例 (pH1の違いは10倍または10分の1となります)
| 13.0 | 水酸化ナトリウム 0.4%水溶液 |
| 11.5 | 炭酸ナトリウム 5.0%水溶液 |
| 10.5 | メタホウ酸塩ナトリウム |
| 9.5 | ホウ砂 0.1% |
| 9.0 | 一般的なアルカリ定着液 |
| 8.0 | 無水亜硫酸ナトリウム 5.0%水溶液 |
| 7.0 | 中性 水; 臭化カリウム |
| 5.2 | ホウ酸 0.5%水溶液 |
| 4.2 | 新鮮な酸性定着液 |
現像抑制剤
主に現像カブリを防ぐために加えられる。現像力を抑えることで未露光または極微少に感光しただけのハロゲン化銀が現像されないようにする。
微粒子現像液では使われないことが多いが、ハイドロキノンを使ったカブリの出やすい標準・増感現像液、印画紙現像液では特に重要。
主に臭化カリウムが用いられ、冷黒調を得るためにはベンゾトリアゾールを使用する。
薬品の簡単な説明と使われる処方
メトール
Metol; Monomethyl para-aminophenol sulfate; para-Methylaminophenyl sulfate
フィルム現像液、印画紙現像液にごく一般的に使われる現像主薬。わずかに黄色がかった白色の粉末。計量は比較的し易い。
写真用品店にて富士「モノール」などが容易に入手可能だが、500gもあると物凄い量の現像液が作れてしまうので少量のパッケージがあればそれでもいい。
経皮で蓄積されると毒性に過敏になることがあります(治らないそうです)。くれぐれもご注意を。
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フェニドン
Phenidone; 1-Phenyl-3-pyrazolidone; 1-Phenyl-3-pyrazilidinone
写真用品店にて比較的容易に入手可能。メトールに似た性格で、フィルム現像液にごく一般的に使われる現像主薬。メトールよりも感度を得やすい。単用では濃度を上げられないので、ほとんどの場合ハイドロキノンと組み合わせて使用する。
冷たい水には溶けないが高温のお湯には溶ける。アルカリ性、酸性それぞれの溶液には溶けやすい。
通常は極少量しか使わないため計量が困難。
アルコールに適当な量(例えば1%)を溶いて計量するなどの工夫が必要かも知れません。
入手が可能なら、アルコールではなくプロピレングリコールを使えば保存も利きます。
また、研和(倍散)という手もあるそうです。例えば5gのフェニドンと95gの無水亜硫酸ナトリウムを粉末の状態で十分に混ぜて保存します。この場合、混合済みの粉末1gには0.05gのフェニドンが含まれるというわけ。一般に無水亜硫酸ナトリウムは数十から100gという多量が使われますので、0.95gは無視しても全く問題なし。
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グリシン
Glycin; para-Hydroxyphenyl glycine; para-Hydroxyphenylamino acetic acid
まれに微粒子フィルム現像液、主に印画紙現像液に用いられる。
水には溶けないがアルカリには容易に溶けるので、調合の際には最後に加える。
粉末の状態でも保存があまり利かないので、必要分だけを入手してすぐに使い切るように。逆に保存液を作ってしまった方が保つらしい。
あくまでもグリシン(Glycin)で、世間一般で言う食品添加物のグリシン(Glycine)ではないのでご注意。入手の際には「写真用グリシン」と念を押して。
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ID-24
アスコルビン酸 Ascorbic acid
イソアスコルビン酸 iso-Ascorbic acid
アスコルビン酸ナトリウム Sodium Ascrobic
いわゆるビタミンC。環境への影響などを考慮して、近年ハイドロキノンの代わりに使用するという流れが強まりつつある。
コダック「XTOL」、富士写「フジドールE」「コレクトールE」イルフォード「イルフォソルS」など市販の薬品では導入済み。
自家調合ではこれからの普及が望まれる。
役割はハイドロキノンに近く、フェニドン、メトールとの組み合わせで過生成を得る。
不純物の金属や空気による酸化もあり水溶液での保存性が悪く、工夫が必要。
単純にハイドロキノンの代替としてももちろん可能ながら、既存の概念を越えた処方の設計にも注目があつまる。
アスコルビン酸とイソアスコルビン酸は同重量で代用可能。
アスコルビン酸ナトリウム1gが0.889gのアスコルビン酸に相当。
FILM >> E-76,Mytol
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ハイドロキノン
Hydroquinone; 1,4 Dihydroxybenzene; Para-Dihydeoxybenzene
ハイドロキノンまたはヒドロキノンの名称で容易に入手可能。
白色の結晶。計量は比較的し易い。
メトールと組み合わせてMQ現像液、フェニドンと組み合わせてPQ現像液を構成する。
現像主薬と言っても単用の現像処方(温黒調印画紙現像液など)は特殊と言っていいと思う。
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ピロカテコール
1,2-Dihydroxybenzene; Pyrocatechin; Pyrocatechol; ピロカテシン; カテコール
フィルムではいわゆる染色現像に使われる現像主薬。印画紙現像では温黒調。
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炭酸ナトリウム Sodium Carbonate
もっとも一般的に使われるアルカリ剤。白色または無色の結晶。
1水塩炭酸ナトリウム(monohydrate)が保存性も良く一般的。処方に無水炭酸ナトリウム(anhydrous)が記載されていた場合、1.17倍の1水塩炭酸ナトリウムで置き換える(もちろん逆も可)。
このページでは全て1水塩で表記しました。
フィルムではごくわずかしか使わないけれど、印画紙用ではかなり使うのでまとめ買い。
酸性液と混合するとガスを発生しますので注意。
乳剤層に染みこんでいる炭酸ナトリウムがガス化すると、乳剤面に小さなピンホールと呼ばれる穴が開く事があるようです(異論はあるけど)。
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重炭酸ナトリウム Sodium Bicarbonate
いわゆるベーキングソーダ。重炭酸カリウムに代用出来る。
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無水亜硫酸ナトリウム Sodium Sulfite
写真用品店にて容易に入手可能。フィルム現像では保恒剤としての機能を越えて微粒子化剤として大量に使われる。
白色の結晶。使用量も多いため計量は容易。
自家調合で遊び始めるとメチャメチャ使うので、思い切ってキロ単位で買っちゃいましょう。
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F-24,
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重亜硫酸ナトリウム Sodium Bisulfite
メタ重亜硫酸ナトリウム Sodium Metabisulfite
いずれも定着液の酸性化に使われる。相互に代用が可能。フェニドンやピロを使った2液保存の現像液などで保恒剤として使われることもある。
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FIXER >> F-24
メタホウ酸ナトリウム Sodium metaborate
アルカリ剤。コダック「コダルク」
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FIXER >> TF-2,
TF-3
水酸化ナトリウム Sodium Hydroxide
強力なアルカリ剤。薬局でしか手に入らないハズ。非常に危険なのでやめた方がイイです。
FILM >> ID-13
メタ重亜硫酸カリウム Potassium Metabisulfite
定着液の酸性化に使われる。メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムらと相互に代用が可能。フェニドンやピロを使った2液保存の現像液などで保恒剤として使われることもある。
FILM >> ID-13
臭化カリウム; Potassium bromide; ブロムカリ
白色の結晶状顆粒または粉末。カブリ防止剤、現像抑制剤として一般的に使われる。
印画紙現像液に使うと温黒調に傾く。
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炭酸カリウム; Potassium Carbonate
白色の粉末。アルカリ剤。炭酸ナトリウムより溶けやすいので、濃縮保存タイプの現像液に使われます。印画紙現像液に使うと温黒調に傾く。
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ホウ砂(硼砂); Borax; Biborate of soda
穏やかなアルカリ剤として微粒子現像液などに使われる。
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ID-68,
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ホウ酸(硼酸); Boric Acid; Hydrogen borate
硼砂と組み合わせてpH緩衝に使われる。両者を組み合わせてpHのバランスをとることで、希釈してもpHが変化しにくくなる。
一般的に無色の結晶。
FILM >> Burton 195,
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ID-68,
Microphen-type
ベンゾトリアゾール; Benzotriazole
無色結晶または白色の粉末。カブリ防止剤、現像抑制剤として使われる。
印画紙現像液に使うと冷黒調に傾く。温黒調を作る臭化カリウムと置き換えて使用できる。
その際は1gの臭化カリウムに対して0.2gのベンゾトリアゾールとする。
その場合、使用量が少なく正確な計量が困難なため下記のような0.2%水溶液を作り置いて使用すると便利。
| 水 (50℃以上) | 750ml |
| ベンゾトリアゾール | 2g |
| 冷水を加えて総量 1000ml |
水溶液100mlでベンゾトリアゾール0.2gとして使用すれば計量が容易。
1%水溶液とかも使うので、目的に合わせて水溶液の濃度を決めましょう。
FILM >> FX-37
PAPER >> BJ cold tone
チオ硫酸ナトリウム; Sodium thiosulfate; Hypo
白色半透明で大きめな結晶、粉末。定着液の主剤。いわゆるハイポ。
FIXER >> F-5,
F-5,
TF-2
チオ硫酸アンモニウム; Ammonium thiosulfate
迅速定着液の主剤。
FIXER >> TF-3
酢酸; Acetic acid
停止液や定着液に使う酸性の液体。臭います(笑)。
FIXER >> F-5
カリ明礬; Potassium alum, dodecahydrate; ミョウバン
白色半透明の結晶状。定着液などで硬膜化剤として使われます。
FIXER >> F-5
フェリシアン化カリウム; Potassium Ferricyanide; 赤血塩
赤色の結晶。ブリーチ剤、減力剤に使われます。
1本あると非常に便利な薬品。
トリエタノールアミン; triethanolamine
通称"TEA"。Patric Gainer氏がPC-TEAをはじめとする現像液処方の溶剤とした事で注目を集めている有機塩基。
水分をほとんど含まないので溶解した薬品が酸化せず、非常に保存性の高い1液の保存液を作れます。また、水溶液はアルカリ性となるので、他のアルカリ剤を用いずに現像液を処方できます。
融点が高く室温だと粘性があり扱いにくいですが、熱すれば容易に計量できます。
水; water
日本くらい水道水が優秀な国は他にないけれど、やはり写真薬品の溶解には最低限、充分に煮沸したうえで不純物を沈殿させた上澄みを汲み置いて使用するのが望ましいです。
ほとんどは平気だけど、処方によっては不純物に敏感なのもあるからね、念のため。
理想は蒸留水だけれど、なまじ水道水が飲めちゃうもんだから近所のスーパーで安く売ってるって事が無いんだよね。
薬局で精製水、カー用品店でバッテリー補充液など買えるけど、ちょっと高いよね。ここぞと言うときしかボクは使いません。
そのかわり、ポット型浄水器(ブリタ)で濾過した水を大部分で使用しています。
間違ってもアルカリイオン水とかミネラルウォーターとか使ってはダメです。
家庭用浄水器が付いてる場合、ミネラル分を補給するタイプかどうか確認してね。
おいしい水が出来ますってヤツは要するに不純物を混ぜてるわけだから、飲むには良いけど写真薬品にはマイナスです。
ポリタンクかなにか用意して、常に数リットルの煮沸済みの水を備蓄するように心がけましょう。
災害時にも必ず役立つよ、きっと。
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