印画紙現像処方の基礎

印画紙現像液を構成する物は基本的にフィルム現像液と変わりません。 現像主薬、保恒剤、アルカリ剤、現像抑制剤(カブリ防止剤)です。

フィルム現像処方との違い
大きな違いは、印画紙現像液の方が高い現像力を持っているという点です。 これは、短時間で現像を終わらせるためと、1セッションで広い面積を現像するためと言えます。
したがって、現像能力が高く疲労しにくいMQ処方が主力となります。
フィルムと違って印画紙の場合はポジ画像で、なおかつ印画紙の持つダイナミックレンジを目一杯使う、つまり最大濃度までしっかり現像しきること求められます。最大濃度に到達するとそれ以上濃度が上がりませんから、現像過多と言うことにはなりにくいのです。 特にRCペーパーではほぼあり得ません。
印画紙現像に時間がかかると、現像中にセーフライトによるカブリが発生しますし、印画紙の方がカブリが与える悪影響が大きいわけですから、現像抑制剤は必須です。

現像過多になりにくいと言っても、特にバライタ紙では現像力を抑えることで現像の進行を遅くすることにメリットがあります。 観察現像で現像をうち切るタイミングをつかみやすい事もありますし、印画紙のグレード間を埋めるためのコントラスト調整を現像液で行うからです。
そうした目的で、軟調現像のためにメトール単用の処方もあります。

また、フィルム現像処方との違いとして、印画紙の場合には粒状性をまったく考慮しなくて良いという面があります。 なにしろこれ以上画像を拡大することはないわけで、人間の肉眼が銀粒子を識別することは不可能です。
そのため、フィルム現像処方と違って微粒子化のために無水亜硫酸ナトリウムを使う必要は無く、保恒剤としての意味あいという事になりますが、オープントレーでは空気に触れる面積が広く、またセッション時間も長いですから、空気による酸化は大きな問題であり、結局たくさんの無水亜硫酸ナトリウムがここでも使われます。
現像力を上げるためのアルカリ剤には炭酸ナトリウム等が多く使われます。

粒状性に配慮する必要はありませんが、逆にフィルム現像液では問題にならない銀画像の色調が大きな要素となります。 現像液の性格によって印画紙上の画像の色合いが変化するのです。
一般にニュートラルトーンと呼ばれる、ほぼ純黒からごくわずかに茶色っぽい黒を基準にして、純黒から青みがかった黒を「冷黒調」「クールトーン」と呼び、茶色がかった色を「温黒調」「ウォームトーン」と呼びます。
これらは印画紙の特性としても有る物ですが、現像液によって大きく、あるいは微妙に変化します。

冷黒調を得るには
 臭化カリウムの量を減らす
 臭化カリウムの量を減らしてベンゾトリアゾールを加える
ようするに、現像抑制剤として、臭化カリウムではなくベンゾトリアゾールを用いることがポイントです。 単に臭化カリウムを使わないという方法では、カブリが発生してしまいます。
やや硬調に仕上げても冷黒調に・・・見えます。

ニュートラルトーンを得るには
 臭化カリウムの量とベンゾトリアゾールの量でバランスを取る

温黒調を得るには
 炭酸ナトリウムの量を減らす
 炭酸ナトリウムではなく炭酸カリウムをアルカリ剤に使う
 臭化カリウムの量を増やす
 露光時間を増やし、現像時間を短くする
 露光時間を増やし、現像液の希釈率を上げる(薄める)
 疲労した現像液を使う(使用済みのを保存しておいて混ぜる)
炭酸ナトリウムを減らしすぎると現像力が足りず曇ったような締まりの無い画像になってしまいますので、そういう場合は炭酸カリウムで置き換える方法が妥当かと思われます。
また、現像抑制剤である臭化カリウムの量を増やし過ぎるとハイライトがスカッと抜けやすくなるので、コントラストが上がって見えますし、デリケートなハイライトのトーンが失われやすいです。



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