Patric Gainer's PC-TEA Film Developer
トリエタノールアミン(TEA)を溶剤兼アルカリ剤とした画期的にシンプルで保存性抜群、微粒子かつ十分なシャープネスを得られる今もっともホットな現像液処方(ちょっと言い過ぎ?)。

Patric Gainer's PC-TEA 保存液100ミリリットル
トリエタノールアミン(TEA)100 ml
フェニドン0.25 g
アスコルビン酸10 g

TEAは粘性があって扱いがちょっと大変です。 かなり過熱しないとフェニドンやアスコルビン酸を溶かすことは出来ません。 こんなに!?と思うくらいの温度に熱しながら溶解してください。
過熱すると、TEAからわずかに湯気が立つように見えますが、これはTEAの中の微少な水分が蒸発しているためのようです。また、色がキャラメル色に変色してきますが問題はありません。

使用液は、現像直前に1:50の比率で水に希釈して作ります。
TEAは低温では非常に粘性が高いので計量が難しいですが、過熱すればスポイトで扱えるようになります。

保存液中に水を含まないので、含まれる薬品の酸化が起きません。そのため非常に保存性は良く、何年でも保つと思われます。 保恒剤として亜硫酸ナトリウムを持っていても、水に溶いた段階で劣化が始まる従来の現像液処方とは異なるコンセプトです。
亜硫酸ナトリウムはいわゆる微粒子化効果のために微粒子現像液の類には大量に使われていますが、それをまったく持たないPC-TEA現像液でも優れた粒状性とシャープネスを兼ね備えたネガを得られます。 亜硫酸ナトリウムによる溶解作用での微粒子現像というこれまでの常識は、いったい何だったんだろうと思うかも知れませんね。
また、TEAの水溶液は安定したアルカリ性を示すため、別途アルカリ剤も含まれていません。 使われているフェニドンとアスコルビン酸は過生成を最大限に得られる配分で効率が良く、無駄をそぎ落とした処方の構成です。
コダックXTOLなどにみられるフェニドンとアスコルビン酸の組み合わせは、MQやPQにならってPCと呼ばれるようになりましたが、酸化しやすさを補うため処方が複雑化しやすいきらいがあります。しかしPC-TEAでは薬品の酸化を仲介する「水」を排除するという単純なトリックで根本的にこの問題をクリアしています。

ボクの経験では、PC-TEAは補完現像効果や境界効果が高いようには見えません。 良好な粒状性とシャープネスを得られる標準現像液という位置付けかと思います。 実際、現在はボクの標準現像液になっています。 境界効果が少ない分、安心して使えるという面もあります。 また、標準で1:50希釈という高濃度の保存液ですから保存に場所もくいませんし、なにより抜群の保存性が有り難いです。
難を言えば、使用の際の計量の度に過熱しなくてはならない、というところでしょうか。 Pyrocat-HDの作者Sandy King氏はPC-TEAについて、このTEAの扱いにくさとベースフォグがやや多めであることを欠点として挙げていて、後者については少量の臭化カリウムを加えることを提案しています(Patric Gainer氏本人は少々のフォグは気にしないという立場のようです。ボクもですが)。
TEAの粘性についてはどうしようもない部分があるので、保存性だけ特に重視して選ぶなら、プロピレングリコールなどを使った別の処方の方がいいかもしれません。 PC-TEAはTEAがアルカリ剤も兼ねるというシンプルさが魅力です。

ほとんどの写真用薬品には毒性があります。保管場所、取扱い等には十分に注意してください

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