普通のプリントとはちょっと違う、いや結構違う。リスプリントはどこか幻想的。 写実性に囚われてしまいがちな日頃の写真活動に、一風違った新鮮な楽しさがやってきます。
それに、普通のプリントテクニックや基本をあっさり無視しちゃう工程が楽しい。 印画紙の号数だの多階調フィルターだの、そんなのには縛られない自由さがイイ。
リスプリントにチャレンジ
どこかで聞いたことがあるような、どこかで見たことがあるような、う〜ん、リスプリント。そんなのあったよねぇ。
そんな感じかなと思うけれど、ハナシによると結構昔からありまして、なかなかに盛んだったらしい。 昔は盛んだったとして、最近はあまり見聞きしないリスプリント。 どうも、コダックがリスプリント用印画紙の製造を終了してから廃れてしまったそうです。
ところが、ここ数年また人気が盛り返しているんだそうだ。 特にヨーロッパではかなり盛ん。アメリカではこれから人気沸騰間違いなし。 ところが、日本ではさっぱりハナシを聞かないよね。 実際、ボクが最初にこのページを書いたときには、グーグルでヒットした(この意味での)「リスプリント」は2件だけでした。
今現在、リスプリント用に特化した印画紙はあまりなく、特に日本国内では皆無と言って良いわけですが、じゃあダメかというとそんなことない。 リスプリントの第一人者Tim Rudman氏いわく、かつて無いほど印画紙や現像液の選択の幅が広くなったとのこと。 普通の印画紙でもリスプリントに向いたモノ向かないモノがあって、わりと普通に使ってる銘柄の印画紙でも出来ちゃうのです。

念のため
リスプリントと聞くと勘違いしやすいけれど、白と黒のスーパーハイコントラストのあの「リス」ではありません。 いわゆる文字や線を複写するためのリスフィルム(コピーフィルム)とは関係ないのでご注意を。
関係あると言えば、リスプリントの現像につかうのがリスフィルム用現像液だって事です。


リスプリントってどんなの
やり方を物凄く簡単に言ってしまうと、メチャメチャに露光過多な印画紙を現像途中で引き上げる。 そんだけ。
これだけ聞くと、ふむ、なるほど軟調現像、温黒にもなるよね。 ただ、リスプリントでは全体にわたって同様に軟調なのではなく、シャドウ部分で硬調、ハイライト部分は軟調になる。
これは、使う印画紙と現像液の性質によります。 もちろん、全体を軟調にしたり、非常に硬調な中にやわらかなハイライトとなったり、露光量や現像具合で同じネガから同じ印画紙上に実に様々な表情を生み出すことが出来ます。
印画紙によっていろいろと異なるけれど、非常に温黒調になったり、あるいは冷黒調になることもあるらしいです。 ハナシによると、印画紙の粒子の大きさなどが影響するそうで、露光時間を長〜くしたり短くしたり、現像液の希釈度合いを変えたりすると表現が変わる。 セッション中に現像液が疲労してくるとまた変わり、疲労した方が「イイ感じ」のリスプリントになるから悩ましい。
さらに、セレニウムやゴールドなどの調色がしやすく相性がよいとのことだ。
つまりは、プリントする人の個性やアイデアやイマジネーションを思いっきり発揮できるという、芸術性・創造性に溢れたプリント技法というわけ。

リスプリントに要るもの
まずはネガ。 リスプリントになれてきたら、狙った表現のために撮影対象から選んでいくのがいいと思うけれど、まずはごく普通のネガでOK。 普通の印画紙に普通にプリントできる普通のネガで良いのです。
リスプリントには赤外写真のネガが雰囲気的に特別相性がいいようなので、赤外フィルムで風景撮ったりしてる人は是非リスプリントにも応用してみたいものです。 また、カラーネガからのリスプリントも、なかなかに魅力と応用の可能性がありますね。

印画紙
さっきも書いたようにリスプリント用と銘打った印画紙はあまりなく、日本国内で普通には入手できません。 しかしながら、ごく普通の印画紙でもリスプリントに適したものが結構あるようです。
一般に、RCペーパーでは難しく、やはりバライタ紙がほとんどになるようですが、RCが絶対ダメというわけではないので、手持ちの印画紙で上手くできるのがあるかどうか試してみるのもいいかも。 見つけたら是非教えて下さいね。
印画紙のグレード(号数)は結果に違いを生みますが、露光時間・現像時間の調整で軟調〜硬調まで非常に幅広く変化させられるため、普通のプリントにおけるグレード(号数)は意味をなしてないと言っていいでしょう。 2号印画紙にスーパー硬調なプリントもできるし、メッチャ軟調なプリントも出来ちゃうのです。

現像液
これが普通の印画紙用現像液とは違います。 だけれども、もともとは特にリスプリント用の処方というのはなく、リスフィルム・コピーフィルム用の現像液を使います。それも、ぐっと薄めて使います。
ボクが現在使っているのは富士写真フイルムのミニコピーフィルム用現像液「ハイリソドール(残念ながら廃盤かな)」ですが、他にもコダックをはじめいろんなメーカーがリスフィルム用現像液を販売しているはずので、入手出来ればそれを使うのが手頃で簡単。
自家調合する場合の処方の例は後でご紹介しますが、リス現像液にはちょっとキツ目の薬品が使われることがあるのでご注意を。

基本的な仕組み
RCペーパーだと現像の進行が早いのでアレだけど、バライタ紙にプリントするときは観察現像する人が多いですよね。 まぁ普段は決めた時間で現像しているとしても、現像液の中で印画紙に画像が出てくる様子は誰でもお馴染みのハズ。
さぁ、その様子を思い浮かべてみましょう。
シャドウとハイライト、一緒に出てくる? ハイライトが先に出てくる?
印画紙によって違うけれど、RC紙では全体が急激に浮かび上がってくるように見えるんじゃないかな。でもバライタ紙では違うよね。最初はまるで画像が出ないけれど、うっすら画像が出始めた後、最初のうちはシャドウばっかり。 ぼんやりとしていたのが濃くなって、それから全体像が見えてくるよね。 画像が出てくる初期の段階はゆっくりだけれど、だんだん加速するように見えるはず。
リスプリントはさらに極端な現象、"infectious development"を利用し、印画紙に画像が浮かび上がってくる過程のなか、現像をうち切るタイミングを調整することで表現を変化させます。
リスプリントの現像過程では、初期の段階ではほとんどプリント表面には現像の様子が現れず、非常に軟調なままゆっくり現像が推移します。
しかし、印画紙の乳剤層の中では化学変化がじわじわと進行していて、ある程度のところから爆発的に目に見える画像を生む化学反応が加速します。
この、現像工程の終盤に起こる加速度的なシャドウ部分の現像は、まずディープシャドウ部分が先行して、それからシャドウ、続いて中間調と、露光量の多かった部分から始まって露光量の少なかった部分へと、急激に範囲が広がっていきます。
この途中で現像をうち切るため、リスプリントはシャドウで硬調、ハイライトで軟調になるんですね。
先にシャドウが出来上がってくるから、シャドウ部分が希望の濃度になったところで現像をうち切れば、中間調〜ハイライトは非常に軟調のまま終わってしまう。 ここからまだ現像を続けると、濃度が上がってくる部分はディープシャドウ〜シャドウ〜中間調〜ハイライトへと徐々に食い込んでくる。
リスフィルム(コピーフィルム)用の現像液は、黒いところは黒く、白いところは白くを強調するために、こうした"infectious development"の作用が強い処方になっているのでしょう。

準備
まずはネガを用意。先にも書いたように普通のネガでもオッケー。
現像液は、リスフィルム用の現像液を、フィルムを現像するときよりも薄めて使います。 あれこれ試すのは先にして、スターティングポイントとして3倍程度に薄めてみましょう。
なんで薄めるかというと、現像途中で進行状況を確認しながらうち切るタイミングを見計らう必要があるため、現像の進行をごくごくゆっくりにしないといけないからですね。 調子や色調にも希釈率が影響しそうです。
初めてリスプリントをやるなら、まずはプリントしたいネガを普通の現像液でテストプリントしてみるのもいいかもしれません。 後で違いを見比べることが出来るし、露光時間の目安にもなります。
リスプリントでの露光時間は非常に幅広く出来るのですが、まずはスターティングポイントとして、通常のプリントをするときのプラス2〜3段、つまり露光時間にして4倍〜8倍でやってみましょう。 8秒露光で普通のプリントが出来る場合、30秒〜60秒ということになります。
こんなに長い露光時間が必要なのは、薄めた現像液を使い、現像を途中でうち切ってもちゃんとした濃度を得るためです。 また、露光時間の長短でプリントの表情は大きく変わります。

やってみよう
印画紙に露光します。先ほど書いたように最初は普通のプリント方法の露光時間を参考するのが良いと思いますが、露光時間はかなり長くなります。
現像液に印画紙を投入、いつも通りに攪拌します。 通常のプリントだと、RCなら数秒のうちに、バライタ紙でも1分もすれば画像が出てきますが、リスプリントの場合はもともと印画紙用ではない現像液をさらに薄めてあるので、1分では現像がろくに進まず真っ白です。 2分たってもほとんど真っ白か、ごく僅かになにか出たかなという感じ。
なので、最初の3分くらいはセーフライトによるカブリを防ぐためにも画像面を下にして攪拌を続けるのがいいかもしれません。 見てても面白くもなんともないですし。
印画紙や現像液、その希釈率にもよりますが、一般的に画像が出始めるのは現像開始から3〜5分というところのようです。 また、加速度的な現像が始まるのはもう少し後になりますから、実際には印画紙を観察するのはその先からで構わないのです。
なかなか出てこない画像ですが、徐々に徐々にディープシャドウ部分が浮かび上がってきて、それらがある程度の濃度に達すると、そこからは急速に現像が進行していきます。 さらに一気に加速して、ぼんやりと眺めているとあれよあれよと真っ黒へ。
重要なシャドウ部分をよく観察して、現像をうち切る、つまり印画紙を素早く現像液から「抜き取って」停止液に移すタイミングを逃さないように注意しましょう。
この「抜き取り」のタイミング(Rudman氏の言葉で"snatch point")を変えることでプリントは多様に変化しますから、まさにココがポイントです。
現像の進行が早くて、どうも「抜き取り」のタイミングを逸してしまう場合、現像液の現像力が強すぎです。 さらに希釈して現像の進行をゆっくりにしましょう。
3分過ぎからごく僅かに画像が出始めたとしても、実際に「抜き取る」のはボクの場合6分〜8分くらいと言うことが多いようで、セッション後半で現像液が疲労してきていると10分を超えることもざらにあります。 もちろんこれらは現像液の希釈率や印画紙の性格によって違います。 ボクはこれまでに最長で30分を超える現像をしたことがあります(居眠りしそうになりました)。
停止〜定着〜水洗の処理は通常のプリントと同様。 通常のプリントよりもフィクスアップ(定着液によって画像がやや薄くなる)が起きやすいとも言われているので、定着時間を無駄に長くしない、可能ならアルカリ定着液を使うなどが望ましいと思われます。
また、定着液に移した段階で色調が変化し、多くの場合は画像が濃くなったように見えるので、乾燥後のドライダウンも含めて観察現像の見極めには慣れが必要です。
調色性に優れると言われるリスプリントなので、その先で工夫しても楽しいかも。

基本的なコントロール
露光時間が長いと、それに応じて現像時間は短くなってきます。この場合、全体として軟調になります。
露光時間が短いと長い現像時間が必要になりますが、露光の絶対量が少ないハイライト部分に現像が至るのに非常に長く時間がかかり、シャドウ部分の現像が先に進行する傾向が強くなるので、ハイライトの濃度を得ようとするとシャドウは真っ黒になりがちです。
現像時にハイライトの調整をしようと思ってもなかなかに困難です。 露光時間が短い場合、ハイライトを待っている間にシャドウが潰れてしまい、逆に露光時間が長かった場合にはハイライトが出そろってもシャドウが薄いままになるからです。
従って、ハイライトの濃度は露光時間によって調整する事になりますね。フィルムとは逆に、「ハイライトのために露光し、シャドウのために現像する」と覚えておきましょう。
シャドウ部分の濃度を現像時に観察しながら「抜き取り」のタイミングで調整し、その結果ハイライトが狙った調子にならない場合は露光時間を変えてみましょう。 ハイライトが濃すぎたなら露光時間を短く、ハイライトが薄すぎたなら露光時間を長く、です。
攪拌による調整がどのくらい有効かはまだ研究しなくちゃなりませんが、シャドウ部分がそれなりに出てくるまでは普通に連続攪拌しないとムラになっちゃうはず。 その後攪拌を控えめにすると、画像面に接している現像液の疲労度合いの違いにより、現像の進行度合いをシャドウとハイライトとでいくらか制御できるのではないかと推測しています。

サンプル 〜 コントラストの調整
露光時間長め・現像時間短め 中間くらい 露光時間短め・現像時間長め
まず念頭に置いていただきたいのは、この参考例はいずれも同じネガから、同じ印画紙にプリントされたものだという事です。(印画紙:オリエンタル ニューシーガルG2)
左は露光時間を長くして全体に軟調になったケース。 中央は露光時間をやや短くし、水面に映った格子状の陰がくっきり出たところで現像をうち切った例。 右端は露光時間をさらに短くし、花が浮かび上がるようにその他の濃度を上げていった場合。 一見すると単に硬調なだけに思われかもしれませんが、普通のプリント手法では困難。
この様に固定階調の印画紙でも、露光時間と現像時間(抜き取りのタイミング)で自在に表現を変えることが出来ます。 通常のプリント手法で、多階調印画紙でコントラストを変えた場合とも異なる結果になります。

Tips
最初はなかなか画像が出てこないので焦ります。慌てず騒がず待ちましょう。
露光時間、現像時間ともに非常に長くかかるので、セーフライトの安全性チェックをした方がいい事も。
かといって暗すぎては観察現像がしにくく「抜き取り」のタイミングがわかりません。 お使いのセーフライトによっては、現像の最初の数分は現像トレイに遮光紙を被せてしまうとか、セーフライトを切ってしまうとかしないとならない場合もありそうです。
最初のテストプリントの時に、現像が加速し始めるまでの時間を計っておき、次からはその時間までは画像を見ていても意味がないので、ボクはトレイの上に遮光性のある紙を被せてフタをし、ただ黙々と攪拌しています。
そんなわけで、退屈しないように音楽をかけるのが習慣になってます。
現像液が疲労してくるセッション後半の方がイイ感じのリスプリントになるそうです。実際やってみてボクもそう思いました。 そこで、セッションの最後に疲労して茶色くなった現像液をボトルに保存し、次回のセッション時に新鮮な現像液にこの古い現像液を少量加えると良いようです。 早い段階からいい感じになってきます。
現像時間が長いため、どうしてもカブリ(ペーパーフォグ)が出やすくなるはずです。 それが問題になる場合、自家調合の経験がある方はカブリ防止剤を少量加えるとかの工夫もありだと思います(多すぎるとリスっぽさが無くなります)。
最初のウチは戸惑うかもしれませんが、全体として長い時間のかかる現像工程ながら、肝心の"snatch point"あたりでの現像は、思いのほか速く進みます。 どうしても抜き取りのタイミングが掴めなければ、もう1枚バットを用意してさらに薄めた現像液を張り、"snatch point"が近くなったというタイミングで移してしまうという方法も考えられるでしょう。 ボクは、ギリギリのあたりでは攪拌をやめ、じっと抜き取りのタイミングを計っています。
いずれにしても、ドライダウンの読みも含め、ある程度の慣れが必要です。

向いてる印画紙
今のところボクが愛用しているのは Rudman氏 も名前を挙げている Oriental New Seagull G です。 純黒調を謳うシーガルも、ボクの場合にはリスプリントで焦げ茶色とも言える強い色調になります。
しかし、残念ながらこの印画紙は販売終了となってしまいました。 ぼくも買いだめしたのですが、そろそろ在庫が底を突きそうです。 念のため、オリエンタルの後継製品 "GF" はダメです。リスプリントには使えませんでした。
それから Ilford Multigrade FB Warmtone もまずまず使えます。 Rudman氏はこの印画紙はBRD(ブリーチ再現像)で独特の表現をするとしています。 際立った効果を得るには工夫が要りますが、日本国内でも入手が容易なのは魅力ですね。
日本国内での販売は終わってしまいましたが、クールトーンも使えるそうです。普通のMG4FBは不向きという評判です。
多階調印画紙はセーフライトを明るくするとかぶりやすいので、その辺がネックかもしれません。 しかし、普段から強めの温黒調を好んでるのなら、通常のプリントとリスプリントで同じのが使えますから、イルフォードのMGFBウォームトーンは便利だと思います。
リスでの愛用者も多いらしい Kentmere Art Classic は価格がちょっと高めだけれど、実に品のある仕上がりで惚れました。 キツイ茶系の色にならず、薄い茶にやや緑が入ったようないわばカーキ。非常に魅力的です。 独特のサーフェイスとともに、ベース色がホワイトではなくベージュなので、その辺の好みは分かれそうですね。
Bergger Prestige Fine Art は思いのほか純黒調になって驚きました。が、現像液が疲労してくると焦げ茶に傾いてくる気がします。 ベルゲールの印画紙は価格は高いけれどすごく存在感のある紙ですね。
その他ボクがリサーチしたなかで、リスプリントに適している、リスプリントしやすいと言われている印画紙にはこんなのがあるようです。
Sterling "Premium F Lith" − どうやら製造終了してしまったようです。
Fotospeed Lith − ずばりリス用ペーパーと謳っている。Sterlingと同じ乳剤説、違う乳剤説あり。
Maco Expo − Maco自体がリス向きとアナウンス。FOTOKEMIKAのEmaksと同じ印画紙だそうです。
Forte Polywarmtone Plus FB − フォルテの印画紙は大手量販や通販で入手できますね。 Fortezo はボクの場合、ハイリソドールではうまくいかなかったけれど、自家調合の処方では抜群の相性で、Polywatmtone Plusの方がやや大人しい目のリスっぽさになりました。
求む情報! 他の印画紙でやってみてヨカッタ!のがあったら是非教えてください。 これはダメだったという情報でも歓迎です。試さなくて済むから。 例えば、富士の「レンブラントV」はダメでした、とか(実際ダメ)。

Macoにリスプリント専用のRCペーパーがあるのを発見! 日本で入手する方法はないだろうか、と思ったら、グレイスがリスキットを販売しているのがコレのようです。

サンプル 〜 トライアンドエラーで仕上げていこう
Oriental New Seagull G2 Oriental New Seagull G2 Kentmere Art Classic
稚拙な作品で申し訳ないがガマンしてもらって、まずは左からスタート。 Oriental New Seagull G2 を使い、露光時間やや長にしてみました。 自然なトーンになるよう現像で調整したものの、もともと陰気なシーンなこともあってやや重苦しい感じになってしまったので、露光時間を短くして再プリント。 樹の幹を濃く描出しながらも現像を早めにうち切って、細かい葉で構成されている周囲の雰囲気を柔らかく残してしてみたのが中央のプリントです。 ハイライト部分はなんとなくチャラチャラして落ち着かず、シャドウも締めすぎた感じがします。 ちなみに、画面に明るい部分が占める割合が多くなったため色調も違って見えますね。
これらワークプリントで得たイメージを念頭に、Kentmere Art Classic を使った完成プリントが右端です。 柔らかすぎたような気もしますが、印画紙の質感にもマッチして満足。 スキャンの具合で伝わりにくいと思いますが、茶系にやや緑が入ったカーキ色なのが分かるでしょうか。

現像液
市販のリスフィルム用現像液(コピーフィルム用現像液)であればとりあえずOK。 今のところ、富士写真フイルムの「ハイリソドール」をボクは使ってますが、コダックの「コダリスRT」とか、いろいろなメーカーがリスフィルム現像液を販売しているので、手に入るモノでやってみましょう。
現像液を自家調合する場合、リスフィルム用現像液として広く知られているのは次のような処方です。

Kodak D-85 Two Solution Lith Developer
保存液 A (1リットル)
保存液 B(1リットル) 保存液Aは約50℃の水500ml程度に溶解した後、水を加えて1リットル。
保存液Bは約30℃の水500ml程度に溶解した後水を加えて1リットル。
通常リスフィルムに使用する場合「A:B=4:1」。 リスプリントでは、これをさらに希釈して使う事になります。

リスフィルム用現像処方には他にも、Defender 15-D、Ansco 79B、Ansco 70、などなど、まだまだいろいろあります。調合の際には換気等に充分気を付けてね。 とはいえ、古くからあるリス現像液処方は使用する薬品の危険度や入手難易度が少々高めなので、市販の製品で間に合えばその方がいいと思います。
また、フォーラムの方にRyuji Suzuki氏が提案するリスプリント用現像液処方の話題があり、入手が容易な薬品だけで構成されている処方が紹介されていますので参考にしてみて下さい。


ご感想などは「黒白写真フォーラム」へ


Home / Lith Printing