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ゾーンシステムもスポットメーターもグレーカードもフィルム濃度計も使わないキャリブレーション

撮影ができたら、暗室かダークバックの中でフィルムをパトローネから、とりあえず3分の1くらい引き出して切りとり、リールに巻いて現像タンクに入れ、現像します。 この現像時間は標準のモノでイイでしょう。
次に、残りのフィルムからまた3分の1分くらいを引き出して切りとり、リールに巻いて現像します。今度は標準の現像時間プラス15%か20%くらい、現像時間を長くしてみます。
残りの3分の1を、今度は標準の現像時間マイナス15%か20%くらい、現像時間を短くして現像します。
さぁ、これで何が出来たかというと、例えば、テスト撮影時の撮影感度がEI400で、プラスマイナス1EVの段階露光をしたとすれば、EI200、EI400、EI800での撮影であり、例えば標準の現像時間が8分で、他に6分30秒と9分45秒の現像をしたとすると、全部で9パターンのテスト撮影・現像が一気に出来上がりです。
1本のフィルムに5コマの5セット弱とか、3コマの8セットだと、適当に手探りで3分の1ずつくらいに切りわけても1固まりに全部のコマが揃うはずです。 もし仮に、とても厳密に長さを測ってフィルムを切り取れるのなら、1本のフィルムで複数のシーンをテスト出来るのですが、多分それは無理なので、3つに切り分けても大丈夫なように同じシーンだけで1本使ってしまうわけ。
3分の1だけ引き出す、というのに自信が無ければ、とりあえず1回全部引き出してから三つ折りにし、折り目の部分で切り分ければ確実でしょう。

露光多・現像少露光並・現像少露光少・現像少
露光多・現像並露光並・現像並露光少・現像並
露光多・現像多露光並・現像多露光少・現像多

ある程度プリントに慣れていると、この現像上がりを見比べただけで、どれが自分にとって適正なネガかが分かってしまいます。
どのコマも使えそうになかったら、また最初の条件(基準の撮影感度や基準の現像時間)を変えて再テストしますし、実際のところ、1回目の現像結果を見て、2回目の現像時間のアタリを付けますから、2セットか3セットあれば大体手頃な撮影感度と現像時間を見つけだせてしまうのです。
仮に3セット目でピッタリくるのが見つからなくても、どれとどれの中間くらいとか、これよりちょっと露光多めとか、やや現像短めとか、そういうアタリを付けられてしまうのです。

というのは、ネガを電灯に透かしたりライトボックスで見たりするだけでネガの良し悪しを掴める程度の経験を前提にしていますが、そこまでまだ行かなくても、少なくともシャドウが素ヌケっぽいコマはダメだな、という位は分かるはずです。
つまり、露光が少ないか現像が少ないか、あるいはその両方かのコマがダメなのであれば、まずそれは省くことが出来ますよね。
露光が多い分では、ネガ上でいちばん薄い部分ですらしっかり濃度があるなぁというのは明らかに露光過多ですから、それも省いちゃいます。
それから、残ったうちで、この辺が使えそうかなぁといういくつかのコマを、実際にプリントしてみます。 最短時間最大濃度法を使えば理想ですが、普段そういう事をしないのであれば、自分が普段やっているようなテストプリントから本番プリントという流れでやればいいと思います。
きっと、どれかひとつだけではなく、いくつかのコマでもちゃんとプリントできるはずです。 出来れば複数のコマで、しっかりとプリントを作ってみましょう。
撮影時の露光量が違うコマは、印画紙への露光時間を変えるとプリントできるはずです。前半で書いていたような、青と赤の描写の違いをプリント上で確認するわけ。
現像量の違うコマは、印画紙(フィルター)の号数を調整すればプリントできるはずです。2号とか3号とか、自分が標準としている号数にどれも収まらなかったら、ちょっと現像時間が違いすぎたようです。もう1回テスト撮影からやり直しですが、もしかしたら1号フィルターが一番好みの描写をするかも知れないですよ。
そして見比べてみます。 例えば3つの異なるコマからそれぞれプリントして、どれもまったく同じに見えたとしたら、残念ですが、プリントを見る目がなさ過ぎです(ゴメンナサイ)。 別の趣味を探した方がいい、とまでは言いませんが、もうちょっと目を養いましょう。
どれかひとつが自分の好みや表現意図にあっていたら、そのコマの現像時間が貴方の標準現像時間であり、撮影時の撮影感度と露出補正量から、貴方の標準的な撮影感度(EI)が決まります。EI400のプラス1EV補正だったならEI200ですね。

もちろん、こうして標準の撮影感度(EI)と標準の現像時間を求めるのがこのテストの目的ですが、同時に、標準より露光過多のネガはどんな風に見えるのか、現像不足のネガからはどんな特徴を持ったプリントが出来るのかなど、今後に役立つ良い経験になるはずです。
軟調なプリントを見て、それが現像不足によるものなのか露光過多によるものなのか、ピッと判断できると気分いいよ。
さらに、露光量をどうするとこういう表現になる、現像量を変えるとこうなるなど、今後の写真表現の広がりも得られるでしょうしね。意図的に露光過多にしてハイライトを滲ませたり寝かせたりとか、意外と表現上で効いてくるんですよ。

そして、なにより肝心なのは、このテスト方法は全て、自分の標準的な被写体(撮影対象)を基準にして、標準的な測光方法や現像方法、プリント手順で行われるという事です。
絶対に普段撮影することのないグレーカードや、描写としてなんの参考にもならない無地の壁を撮影することはしませんし、他にはあまり役にも立たないフィルム濃度計を使うこともありません。 理屈だけに基づいた厳密なテストの結果が、自分の実践と食い違うが為に、自分の実践内容をわざわざ修正する必要もありません。

さて、とにもかくにも標準的な晴天屋外かなにかでのテストが済んだら、今度は夜の街にでも出かけて、昼間とは異なる人工照明でのテスト撮影もしてみましょう。
被写体(シーン)の中の輝度の差が激しい夜の街や、光源が異なる屋内などでは、同じように測光・撮影しているつもりでも、実際にプリントしてみると標準と同じ撮影感度と現像時間では上手くツボにはまらない事を発見するでしょう。 もちろん、夜の撮影には超高感度フィルムを使うのが常なのであれば、そのフィルムでテストするわけです。 このテストを夜にも行うことで、夜用の撮影感度と現像時間の標準を見つけられます。
曇りの日もまた、晴の日とは違う標準があるはずです。 逆に真夏のピーカン照りでも春の晴天とは違うでしょう。
あまり細かく環境を分類してもキリがないですが、いくつか、大雑把に区分けして、それぞれでの撮影感度と現像時間を決めておくのは非常に有効だと、そう思うはずですよ。
そして、この実践的なキャリブレーションも、なかなかどうして簡単で確実で役に立つモノだと思うはずです。
もちろん、標準現像だけでなく増感現像であっても同じ方法でOKです。

実を言うと、フィルムと現像液の組み合わせが初めてだったりすると、ボクはこのやり方で、しかも大雑把な初期テストでアタリを付けて、それからもうちょっと細かいテストに進むか、大体OKな組み合わせで実践投入するかしてしまうのです。 特にゾーンシステムを使うつもりのない35ミリフィルムでのスナップ撮影用としては、この方法が一番だと思ってます。段階露光と1回か2回のテスト現像だけで、これでOKとか、もうチョイ現像押しとか、プリントもせずにキャリブレーション完了なんです(よい子はマネをしないように。ネガを見ただけで判断できる様に経験を積んでからにしてね)。
さんざんゾーンシステム的な事をサイトに書いてきてなんですけど(笑)。
もう少し厳密に、撮影感度や現像時間をテストするならば、こちらのページをご覧下さい。


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