前のページからの続きです。(page 1 2 3 4 5 6

中央重点平均測光
とはいえ、じっくり撮影するならスポットメーターが理想でも、スポットメーターを常に持ち歩くのも面倒なものです。 一眼レフを中心にして露出計内蔵のカメラは多いですが、どんなカメラにもスポット測光機能が内蔵されているわけではありません。
ボクの場合、写真撮影を覚えた時のカメラがキヤノンのT90という機種で、これにスポット測光が内蔵されていたおかげで随分重宝しましたが、他に使ってきた大部分のカメラは中央重点平均測光という仕組みでした。
平均測光というのは画面内の明るさの平均を基準にして(平均反射率と想定して)シャッター速度と絞り値を決めるものですが、主な被写体は画面の中央付近にあるという前提にたって、画面の中央付近の明るさの分布を重視して平均値を出すのが中央重点平均測光。
おそらく、マニュアルフォーカス時代の一眼レフカメラや露出計内蔵のレンジファインダーカメラの多くが採用しているのではないでしょうか。
この場合、被写体の「とある部分」を限定的に測光することは出来ませんので、スポットメーターのようにはいきませんが、「中央重点」が見ているであろう範囲が平均反射率とどれくらい異なるか、というのを認識すれば、なかなか使い勝手の良い測光方法です。
たいていの場合、たしかに主被写体は画面の中央付近にあるものです。 また、細かい明るさのバラツキがあっても、だいたい画面中央に重点を置いた平均測光なら、全体の画面として平均的な明るさという風に見てもおかしくない写真が多いはずです。
もちろん、例えば白い壁を撮影するならプラス補正、黒い壁を撮影するならマイナス補正が必要ですので、自分のカメラの中央重点平均測光がどのような癖をもっているのか、経験を通して良く知る必要があります。
また、画面内に極端に明るい部分があると、それによって平均値が大きく変化してしまいますので注意が必要です。 逆光のポートレートで顔が真っ暗とか、ありがちですよね。 室内の撮影、夜の撮影でも、電灯などの「点光源」によってかなり平均値が左右されます。面積が狭くても極端に明るいので、全体に与える影響が大きいのです。
この事を「露出が引っ張られる」なんて言います。
いずれにしても、被写体のとある「部分」ではなく、画面内の大部分という「面の認識」で、撮影しようとしているシーンを印画紙上の濃淡のどのあたりに配置するのかというヴィジュアライゼーションが大切です。

中央部分測光
これがどれくらい一般的な装備なのかはわかりませんが、ボクがこれまでに使ってきたカメラの中には中央部分測光という機能を持っているものがいくつかありました。
スポット測光は高級機でないと装備されていないように思いますが、中央部分測光は廉価な普及機にも見ることが出来ます。 ボクが持っていたキヤノンのEOSキスですらありましたから。
中央部分測光は、中央重点平均測光よりもスポット測光に近い感覚で使える機能だと思います。 測光している範囲が広いので少々ラフではありますが、お使いのカメラにこれがあったら、活用してみると良いと思います。
先ほども例に挙げた逆光のポートレートでも、たいていは中央部分で人物を測光できるはずですし、点光源を避けて測光することも容易ですから、運用上の確実性は高いです。

多分割評価測光
非常に高度な仕組みで、画面内をいくつかのエリアに分割し、それぞれの明るさの分布から主被写体の位置を推測して、その部分を適正露出にするコンピューター制御の測光方法です。 さらに高度なものでは、ピントが合っている部分を主被写体として把握して露光量を決める事までします。
実際問題として、一般に撮影される写真の大部分は風景をや名所旧跡をバックにした人物写真か、同じく風景をバックにした建物や植物などで、確かに主被写体は画面の中央付近にあります。 さらに、AE(自動露出)での一般的な失敗でもっとも多いのは、逆光時の人物の顔が暗くなるといった決まりきった形なので、周囲が明るく中央付近に暗い部分があれば、それは明るい風景を背景にした人物写真と判断してほとんど間違いないのも事実でしょう。
膨大な写真のデータと、画面内の明暗の分布、ピントの位置を付き合わせて、写真の内容を想定して最適と思われる露光値を算出する多分割評価測光は、もしかすると「機械任せ」というニュアンスで敬遠してしまう人が多いかも知れませんね。
ボク自身はそれほどこの測光方法(正しくは測光評価方法)を使ってきたわけではないので何とも言えませんが、まったくこれに任せるか、あるいは使わないかのどちらかだと思っています。
少なくとも、ボクが今使っているキヤノンのEOS3では、表現意図を反映するような露出補正(ゾーンプレイスメント)を使わない平均的な明るさを求める撮影で多分割評価測光を使い、測光値そのままの撮影で、これは機械のミスだなぁと思ったコマは1枚たりともありません。 念のため自動段階露光(ブラケッティング)を行うことも多いのですが、たいていは測光値通りのコマでOKです。 まったくもって恐ろしく良くできた測光装置です。
注意が必要だなと思うのは、中途半端な多分割評価測光はそれほど信頼できない、という事でしょうか。 ボクもNewEOSキスを使っていた頃は、多分割評価測光よりも昔から使っているような中央重点平均測光の方を信頼してました。
なまじコンピューターの演算が入るので、単純な平均測光と違い撮影者が結果を予測しにくく、それに対して補正ということも自信を持っては出来ません。 評価測光に全幅の信頼が置けなければ避けた方がいいでしょう。
もっとも、ボクはEOS3を経験して、自分が長年やってきた中央重点平均測光プラス露出補正はコンピューターに負けた、と素直に認めましたけれど。
それだけスゴイ最近の多分割評価測光ですが、これは万能ではありません。 画面全体としてほとんど間違いなく適正露光になりますが、では被写体のどの部分がどの明るさか、それをどう配置するかといったゾーンプレイスメントには使えないからです。
あくまでも画面全体として、そしてほとんどのケースで主被写体が平均反射率に基づいた適正露光になる、というものです。 創作意図を反映させるという方向ではあまり活用できません。
しかし、ほとんどの写真、風景や気軽なポートレート、あるいはマクロなど、またモノクロ写真でよく見られるストリートフォト、街角スナップの類では、黙って高性能な多分割評価測光に任せておいた方がいいでしょう。
シャドウ側にもハイライト側にも特に振れず、ネガ上にひと通りの階調情報が揃う中間的な露光量は、プリント時の自由度が高くなります。 特に表現意図があってゾーンプレイスメントを行うのでない限り、ごく当たり前の適正露出というのは安全で理にかなった露光量なのです。 スポットメーターを使ったシャドウ基準測光についで、安全確実なのがこれでしょう。
ボクは、自分自身についてそれほど写真はヘタじゃないと思ってますが、一般的な写真の一般的な撮影において、特に日常生活のなかの気軽な撮影で、EOS3の多分割評価測光以上に素早く正確に露光量を決める事は出来ないと思っています。 シャッターチャンスを優先するなら、高性能な多分割評価測光は理想的な測光方法です。 たまたま自分のカメラがEOS3なのでEOS3の話をしてますが、多分同じクラスの他メーカーのカメラも同じように信頼できる物だと思います。
まぁ、敢えて欠点を言えば、モノクロ写真に似合う(と思われている)セミクラシックなカメラには、高性能な多分割評価測光なんて装備されてない、ってことでしょうか。

次のページへ続く。

page 1 2 3 4 5 6
Home / Metry