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増感現像用の現像液
ほとんどの現像液で、現像時間を長くすればいくらかは増感現像出来ますが、やはり増感現像に適した現像液、不向きな現像液というのはあります。
例えば、現像主薬がメトール単用の超微粒子軟調現像液(富士ミクロファインなど)は、現像時間の割に濃度が上がらないから不向きで、実用的なのはせいぜい1段くらいまでじゃないでしょうか。極端な例ですが、フェニドン単用の現像液(POTAなど)はさらに極端な軟調現像液だからさらに不向きでしょう。
メトールやフェニドンは単体で現像が可能な現像主薬だけれども、現像(ハロゲン化銀に電子を供給して銀に変換する)した後の酸化物が次の現像を妨げてしまうので、なかなか現像が進まないんですね(だから軟調になる)。
もうひとつの代表的な現像主薬であるハイドロキノンは単体ではほとんど現像出来ない(だからハイドロキノン単用のフィルム現像液というのは無い)けれど、現像で酸化したフェニドンを自分を酸化して元に戻してしまうため、組み合わせれば強力な現像液になって増感現像にも適格となります。これがPQ現像液ですね。
似たようなコンセプトでメトールとハイドロキノンを組み合わせたMQ現像液(代表的なのがD76)でも2段くらいの増感は充分こなせると思いますが、さらに増感するならPQ現像液の方が向いています。
一般にメトールよりフェニドンの方が実質的なフィルム感度を上げられる(露光量のより少ない部分から濃度を上げられる)からですが、これはメトールよりフェニドンの方がハロゲン化銀に吸着しやすいからではなかろうかと思います。 また、ハイドロキノンは酸化したメトールを還元するのにフェニドンのようにはいかず、時間が掛かるため、極端な増感現像となると時間が掛かってしょうがないからじゃないかと素人なりに想像します。

補完現像液
"Compensating Developer"と呼ばれる現像液も増感現像には適しています。 いちおう、"Compensating effect"を補完現像効果とボクは呼んでるので、こちらは補完現像液でしょうか。
補完現像効果というのは、現像中に現像液の疲労によって、現像の進んでいるハイライト部分では現像の進行が緩慢になり、シャドウ部分では活発な状態が続くという現象により、結果としてシャドウ部分の濃度を引き上げなながらもコントラストが高くなりにくいという仕組み。
この効果を得やすい現像液というのもやはりあって、ひとつには現像液が疲労しやすいと言うのが条件。また、高い希釈率で使用できる現像液というのも挙げられます。
一般的な製品では、アグファのロディナルが補完現像効果が高いと評価されていますが、感度を得やすいと言うよりシャープネスを上げられる(補完現像効果と同様の仕組みで発生する境界効果により)という点で言われています。
MQ現像液に比べればコダックのXTOLや富士のフジドールEなど、PCタイプ(フェニドン-ビタミンC)現像液は補完現像効果は得やすいと思います。
また、イルフォードのマイクロフェンは現像を押してもコントラストが上がりにくい現像液としてオススメです(手に入りにくくなっちゃっいましたが)。
いずれにしても、増感現像をするには、現像力がそれなりに強い現像液、MQやPQ、あるいはPCなどを使う方が良く、補完現像効果の高い現像液はデメリットをいくらかでも和らげる意味で、増感向きと言えます。
また、増感現像のデメリットとして粒子が荒れてしまうと言う事の対策という風に考えれば、 微粒子化効果のある現像液、pHがあまり高くない現像液というのが向いているでしょう。

より良い増感現像
先に書いたように補完現像効果というのが増感現像においても助けになりますが、その効果をより引き出すには使用液の希釈率を高めると同時に、現像時の攪拌を通常とは異なるサイクルで行うと良いです。
希釈した現像液を使い、攪拌と攪拌の間に時間をおくという方法は、標準現像ではシャープネスの向上のためによく用いられますが、増感現像をする際にも非常に有効な手段なので、是非ともトライしてみてください。
例えば、富士のフジドールEなどは、現像データを見ると原液使用、1:1希釈、1:2希釈といった使い方が書かれていますが、現像力が強いはずの原液での使用よりも、1:2や1:3といった希釈使用の方が、当然現像時間は長くかかりますがコントラストが上がりにくく、シャドウのディテールも案外得やすいのです。
1:3希釈で、さらに攪拌の間隔を長くすると、より効果を実感しやすいと思います。 例えば、通常ですと1分ごとに10秒の攪拌をするところ、全体の現像時間を1.5倍程度に伸ばして、3分ごとに10秒の攪拌といった方法をとる事も出来ます。
攪拌については、こちらのページを参考にして下さい。

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