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増感現像の妥当性の検証
一般的な撮影と現像では、ゾーンシステムでのテストやリングアラウンドテストのような方法で、撮影時の露光やフィルム現像はかなりの部分検証できますが、ゾーンシステム的なフィルムの実感度や階調幅の発想が役に立たない増感現像では、シャドウディテールはかなりの部分諦めざるを得ませんし、ハイライトが飛んでしまうこともやむを得ません。
そのため、露光量x現像量=フィルム濃度の妥当性の判断において困惑してしまうことがあります。 撮影感度の基準になるべきディープシャドウも、現像量の基準になるべきハイライト濃度も標準から大きくはずれてしまうからです。
また、一般的なプリント方法では、どうしても救済処置的な手順に頼ってしまいがちなため、肝心の中間調のネガ濃度が果たして適切なモノかどうかが分かり難いのも確かです。 つまり、増感現像であるが故に多くの場合、こんなもんだろうという妥協で判断されてしまい勝ちなのです。
そこで、増感現像の検証にも最短時間最大濃度法を用います。

最短時間最大濃度法」というのは、未露光のまま現像だけした素ヌケのネガをプリントし、印画紙の最大濃度を得られるもっとも短い露光時間をもちいたテスト方法の事です。
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特にここでは実践的に、素ヌケのコマによるテストで得られた最大濃度を得られる最短露光時間でプリントし、どう見えるか、から判断します。 増感現像では素ヌケのコマの濃度がカブリによって濃くなりがちですから、かならず実際に増感現像したフィルムの素ヌケコマを使って露光時間をテストしてください。標準現像ネガの素ヌケコマを代用するような手抜きはダメです。
低照度下で撮影されるのが当たり前の激しい増感現像では、画像中にも素ヌケの部分が必ずと言っていいほど存在します。 発想としては、そこがもっとも濃い黒となるまで印画紙に露光する、というよりも、そこがもっとも濃い黒になるだけしか露光しない、つまり無駄に多く印画紙を露光しないという狙いです。その事により、ネガ上にある貴重なディテールや中間調のネガ濃度を無駄にすることが無いのです。
また、その露光時間でのプリントで中間調前後が適正な明るさのグレーになっているかどうかを見れば、あれこれプリントをやり直したりせずともネガ濃度の妥当性が分かります。
また、実践的な被写体を段階露光したネガを用意し、同様の方法でプリントすれば、設定した撮影感度に対して行ったフィルム現像が適正であったかどうかと同時に、適正となる撮影感度も知ることが出来ます。
例えば、撮影感度をEI3200として3分の1段ステップで段階露光したネガがあり、最短時間最大濃度法によって決めた露光時間で全てのコマをプリントしたとします。 プラスマイナス0EVのコマがもっとも適切な中間調を持っていたら、その現像は適正ですが、例えば測光値からプラス2/3段補正で撮影したコマが適切だったなら、その現像時間はEI2000に対しての適正現像として、今後の撮影に活用出来るわけです。 現像時間を変えて何パターンか同様のことを行えば、とあるフィルムと現像液の組み合わせについては、ほとんどの増感域での撮影感度と現像時間のデータを作成することが出来るでしょう。
このように、段階露光したネガを一定の条件、つまり最短時間最大濃度法でプリントする方法は、極端な増感現像だけでなく通常の撮影感度域でのより実践的な現像テスト方法としても有効です。 特に増感現像では、ゾーンシステム的なシャドウ基準実感度というものが意味を持ちませんから、この様な中間調基準によって撮影感度と現像時間の組み合わせを見出していくのが特に効率的なわけです。

もちろん、増感現像でもゾーンシステムの応用は可能です。 とある撮影感度と現像時間の組み合わせにおいて、ダイナミックレンジがどの程度あるかを把握しておくことは、撮影の精度をあげるために非常に役にたちますし、純粋な中間グレーではなく、例えばスポット測光した人物の肌を印画紙上のどの明るさに置き換えるかと言った、ゾーンシステムそのものの実行も可能です。 ダイナミックレンジが狭い増感現像ではプリント時の救済余地があまりありませんから、通常の撮影・現像に比べてもなお、そうした緻密な露光量のコントロールが極めて重要だと言えます。

スポットライトの下で行われている雑伎団のステージを、撮影感度1600にて。最短時間最大濃度法でストレートプリントしたものです。
この様に背景が極端に暗くて詳細がない写真、増感現像を行うようなシチュエーションでは多く見られるケースですが、こうしたネガのプリント作業においては、判断基準に出来るディープシャドウのディテールが一切無いため、中間調を基準にする一般的なプリント方法では黒の濃さの妥当性を見失いがちです。
最短時間最大濃度法による印画紙の最大黒を基準にして、中間調が適正となる感度設定とフィルム現像、そして撮影時の正しい測光が大切になってきますが、日頃から最短時間最大濃度法に慣れ親しんでいればどうという事もありません。


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