ちょっとコーヒータイム
暗室作業に煮詰まってちょっと一息、という時のコーヒーはとても美味しい。
仕上がった作品を眺めながらの1杯はなにものにも代え難い。
酢酸やらチオ硫酸アンモニウムやらの臭いばかり嗅いでいてはいいアイデアも浮かんでこない。
コーヒーの香りはモノクロ写真の創作過程に不可欠だ。
もちろん、ボクも子供の頃からのコーヒー大好き人間である。
といってももっぱらインスタントコーヒー専門。なにせ1日に20杯くらい飲むこともあるチェーンドリンカーで、カップが空になっていると不安になるというくらいだからカフェイン依存症の疑いありだ。
それはさておきコーヒーとモノクロ写真の関係だが、なにもコーヒーが黒くてミルクが白い、という色の連想だけではない。
すでにご存じの方もおられると思うが、コーヒーは現像液になるんである。
というわけで、こーひーた〜いむ! ・・・やってみた。
さすがにコーヒーだけでは現像出来ない。なにせコーヒーは酸性である、だから胃に悪い。
現像液はアルカリ性じゃないとダメなわけで、アルカリ剤を加える。
コーヒー現像というと、たいていハナシに出てくるのは洗濯用の炭酸ソーダ(washing soda)。
何が何でも日用品でまとめようと言うワケだ。
しかし残念ながらウチに「洗濯ソーダ」はなかったので、写真用として販売されている1水塩炭酸ソーダ(ウチの常備品)を使用。
たいして変わりはしないので、洗濯ソーダを持ってる人はそれで十分であろう。
まずは「ネスカフェエクセラ」大さじ2杯、炭酸ソーダ大さじ2杯を1リットルのぬるま湯に溶き、24℃で20分、イルフォード100デルタのシートフィルムを現像してみた。
これは先日撮影したときに予備として露光して置いたもので、1回目の現像でOKになったため破棄する予定だったヤツ。
つまり露光指数は通常の現像液を使う場合と同じで、ボクの場合このフィルムはEI64である。
現像にはステンレスタンクを使い、1分毎に4回の倒立攪拌というごく普通の方法でやってみる。
まず何より感動的なのは、普段はありがたくもない現像液の臭いが心地よいコーヒーの香りであるという事。攪拌すると香ばしさが漂う。こりゃ楽しい。
ぎょっとするのは、やっぱり現像液がコーヒー色だっていう事、少々おどろおどろしい。
停止浴は水道水で、2回の入れ替え。停止浴と言うより軽い水洗である。なにせ定着液にコーヒーをあまり持ち込みたくはない。
定着は普段通りにTF-4を使った。
定着を終えてみると、いつもよりネガのピンク色が強かったが、水洗に時間をかけておおむね除去。
ただし、それでもネガ全体に色が付いている。これはコーヒーに含まれるタンニンによってゼラチン層が染色されたのであろうと推測。
ちなみに、ボクは普段からステンレスタンクを使っているのだけれど、コーヒー現像の場合プラスチック製のタンクはこのタンニンによる染色があるためあまり望ましくないと言われてます、念のため。
それはさておき画像はというと、残念ながら超薄かった。極端な現像不足。
アメリカンではダメらしい。1回目は失敗だ。
日をあけて、2回目のチャレンジ。
たまたまカメラにデルタ400が入っていて、カウンターを見ると2枚だけ撮影してあった。
何を撮ったのか記憶にもなかったので、そのまま使ってしまうことにする。
感度設定は250。庭に出てテキトーにパシパシやる。
前回より濃いコーヒーで現像せねばと、コーヒー20g、1水塩炭酸ソーダ10gを500mlのぬるま湯に溶き、前回と同様の攪拌方法で24℃20分。
これまた超薄いネガ、前回よりさらに薄いネガで大失敗であった。
いつのまにか「ネスカフェエクセラ」を飲みきってしまっていて、今回は「ネスカフェプレジデント」だったのだが、こちらのほうが現像力が弱いのだろうか。
通常100デルタとデルタ400ではあまり現像時間が変わらないのだが・・・。
フィルムを換えてみようと、比較的短時間で現像されるネオパン1600SプレストをEI400で撮影し、先と同じ方法でやってみる。
ところが今度はまったく画像が識別出来ないほど薄い。まるでダメ。
う〜ん・・・。
もしや、インスタントコーヒーは健康に配慮して成分を調整してあるのだろうか、むかし、カフェイン抜きのヤツとかあったしな、と思い、レギュラーコーヒーを濃いめに250ml作って、10gの1水塩炭酸ソーダを加え、同じくEI400のネオパン1600Sプレストを25℃20分現像。
ようやくごくわずかに画像が出たが、それでもまるでダメだ。
ネガについた色はコーヒーっぽくて綺麗だが。
ここに至って、とにかく強引に現像を押し進めなくちゃダメだと決意。
ネオパン400プレストをEI200で撮影して、ネスカフェプレジデント大さじ2杯、1水塩炭酸ソーダ大さじ1杯をぬるま湯に溶き総量300mlというメッチャ濃いコーヒーを作り現像。
20分間の現像時間は変えず、黙々と倒立攪拌を続けた(腕がだるくなった)。
ずっと手に持っての連続攪拌なので、温度調整はかなりイイカゲンである。
スタート時には25℃であったとだけ書き添えておこう。
ちなみに、この処方で処理液のpHは11.0〜11.1とかなり強力なアルカリであるから、コーヒーでフィルムが現像出来るならこれだけの濃さと20分間の連続攪拌で現像出来ないはずがない(という強い思いこみがないと20分の連続攪拌などやる気にならない)。
結果は・・・実はすでに Gallery にコーヒー現像による作品を掲載しているのです。
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