ゾーンシステム 〜 そりゃいったいなんぞや?
その昔、アメリカにアンセル・アダムスという写真家がおりまして、数々の「印象的な」風景写真で名をはせました。
彼は写真技術を後進に伝えようと、講師としても活躍して尊敬を集めたんですねぇ。
アダムスの業績で特筆すべきなのは彼の作品は勿論のこと、美しく印象的な写真を創造するための思考と技法を結びつけ、被写体の明暗を印画紙上の濃淡に導いていくゾーンシステムを同僚らと共同で提唱し、その仕組みをわかりやすく書籍にあらわした事にあると言っていいと思います。
「ゾーンシステム」、そう聞くと「上級者向けのもの」「大判でしか出来ない」「やたら複雑そう」というイメージがありますが、ナルホド確かに初心者がホイホイと実行できるモノではありません。
またあるいは「ゾーンシステムはすでに過去のモノ」と言う風に思ってしまうこともあるかも知れません。
しかし、アダムスが著書、いや著書と言うよりは良く書かれたハウツー本なのですが、その中で示したことは、なにも上級者だけが立ち入れる秘法でもなければテクノロジーの進歩で意味を失ってしまうような一過性のテクニックでもありません。
そこで語られているのは、写真を撮り、フィルムを現像し、印画紙に焼き付けるという当たり前の作業を理路整然とした流れの中に統合する方法、そしてそれらの技術はあくまでも写真を撮る、写真作品を創造する作家の意図を具現化するためのものであるという不変の哲学なのです。
その意味合い、重要さは、黒白フィルムの技術革新があり、多階調印画紙が一般的になり、あるいはデジタル撮影やデジタル出力すら身近になった今日でも、本質的にはなんら変わることがありません。
しかし、さすがに写真を始めたばっかりで「ゾーンシステム」に向かい合うとまごついてしまうもの。そこで、できるだけ分かりやすく解説してみようというのがこのコーナーの主旨です。
ゾーンシステム、その前に
実は、このサイト(tokyo-photo.net)の中では、初心者向けのコーナーをも含め、大部分の記事においてゾーンシステムの骨格を使っています。
ですので、ここで同じ事を繰り返すことは致しません。
少なくとも、以下のページは既にお読み頂いて、ご理解頂いている、あるいはテスト現像などは実行しているという前提で進めさせて頂きます。
「
最短時間最大濃度法」
「
標準現像を決めよう」
「
モノクロ写真での測光を考える」
ゾーンシステム解説というと、センシトメトリーが切り離せないため、必ずと言って良いほどフィルム濃度計フィルム濃度といったものが登場します。
しかし、一般のアマチュアでフィルム濃度計を使える環境は非常に得にくいと考えて、「
最短時間最大濃度法」では濃度計を使わず、より実践的に印画紙を用いて、フィルム感度や現像時間を求める手段を提案しており、「
標準現像を決めよう」では、そのテスト方法をご案内しています。
また、「
モノクロ写真での測光を考える」では、ネガフィルムを使った撮影がどのようなコンセプトに基づくべきかを書いているつもりですが、その中で、ゾーンシステムの運用には必須となるスポットメーターの利用と、ゾーンプレイスメントについても触れています。
検索エンジンやディープリンク等を経由して、まずこのページに辿り着かれた方もいらっしゃるとは思いますが、まずは先にあげた記事に目を通してくださいますよう、お願いいたします。
それから先に進むことにしましょう。
次のページへ続く。
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