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さて、先ほどは、実際に被写体を測光してみたところ、標準現像で前提にしている9EVのダイナミックレンジにちょうど収まった場合のケースでした。
もし、測光した「ゾーン2」と「ゾーン7」の関係、つまり被写体のコントラストが標準とは異なっていたらどうでしょうか。
先ほどと同じ写真ですが、例えば、赤い丸印の「ゾーン2」の測光値が11EVで、「ゾーン7」としたい緑の丸の部分がEV16.5とかEV17だった場合などです。
「ゾーン2」と「ゾーン7」の関係は、標準でしたらば
「 7 - 2 = 5 」
でなくてはなりませんから、
「 17 - 11 = 6EV 」
の差は標準よりもコントラストが高いのです。
逆に、コントラストが標準より低い場合を考えてみると、例えば赤い丸印の部分の測光値がEV11で、緑の丸印の部分の測光値がEV15.5とか、EV15というようなケースになりますね。

こうした場合、考えれられる方法は2通りあります。

ハイライトを成り行きに任せる
あくまでも、標準現像は標準の印画紙のコントラストを前提にしてテスト・設定されているのでした。
そこで、例えば、標準印画紙(フィルター)が2号なのであれば、左記の例で被写体のコントラストが高かった場合、コントラストの低い号数を使えばプリントできる、という事になります。
逆に、被写体のコントラストが低かったのであれば、プリント時には高い号数を使えば帳尻が合います。
この場合、成り行きに任せて良いのはハイライトで、シャドウはそうはいきません。
コントラストの高い被写体の場合、「ゾーン8」をスポット測光して+3EVの補正で撮影すると、「ゾーン2」は露光不足で「ゾーン1」に向かって下がってしまうからです。

「標準コントラスト」
ダイナミックレンジ = 9EV
ゾーン Z 2    Z 8 
測光値-4EV-3EV-2EV-1EV±0EV+1EV+2EV+3EV+4EV
ゾーン8を測光し、+3EVして撮影するというのは、「○印」の部分を中間グレー(18%グレー)と見なしているという意味ですが、標準コントラストの被写体においては、どこを測光しても適切な露出補正量を与えれば、残りはあるべきところに収まります。
ゾーン2を測光するなら、測光値に-3EVすれば良いわけです。

「高コントラストの被写体をハイライトで測光」
ダイナミックレンジ = 10EV
ゾーン Z 2     Z 8 
測光値-5EV-4EV-3EV-2EV-1EV±0EV+1EV+2EV+3EV+4EV
コントラストの高い被写体において、同じようにゾーン8を測光し、+3EVして撮影すると、「○印」の中間グレー(18%グレー)から見て、ゾーン2は測光値-4EVとして露光されてしまいます。
そのためネガ上ではゾーン1相当の濃度にしかなりませんし、被写体上のゾーン1は測光値-5EVのゾーン0、すなわちネガ上で素ヌケになってしまいます。
つまり、ゾーン1を基点として定めたフィルムの感度に対して、1EV露光不足になってしまうわけですね。

「高コントラストの被写体をシャドウで測光」
ダイナミックレンジ = 10EV
ゾーン Z 2  ○    Z 8 
測光値-4EV-3EV-2EV-1EV±0EV+1EV+2EV+3EV+4EV+5EV
同じくコントラストの高い被写体において、ゾーン2を測光し、-3EVして撮影すると、「○印」の中間グレー(18%グレー)から見て、ゾーン2はもちろん測光値-3EVとして露光されますし、ゾーン1は測光値-4EV、つまり撮影感度を求めた時の前提通りに収まりますから、露光不足で素ヌケになってしまうことはありません。
逆にハイライト側は、ゾーン8でも測光値+4EV相当の露光量になりますので、ネガ上で濃度が高くなり、標準の印画紙では質感を得られません。
このケースでは、ゾーン1を基点にしたフィルム感度に対しては適正露出で、ただしコントラストに関しては、標準現像では現像オーバーである、という事です。
しかし、印画紙の号数を下げれば、ある程度はリカバーすることが出来るでしょう。

これらは、シャドウ部分の露光不足はプリント時にリカバーできないという、反転画像であるネガフィルムの特性ですから、ネガフィルムでの撮影では常にシャドウを意識して露出決定する「シャドウ基準測光」という鉄則の通りです。

逆に被写体のコントラストが低かった場合、ハイライトを測光してもシャドウを測光しても同じように思えますが、これもやはりシャドウを基準にして測光するのが鉄則です。
露出決定というのは露光量を決めることであり、露光量というのはフィルムの感度に対して決められるべき物です。 したがって露出決定は、フィルム感度を特定した際に基準としたシャドウで決め、現像によって大きく左右されるハイライト側を成り行きに任せるようにします。
常に、「シャドウのために露光する」のです。


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